FTSE Russell、FTSE TPI 気候インデックスの適用範囲を日本の株式市場に拡張


インデックス、 データおよびアナリティクスの世界的なプロバイダーであるFTSE Russellは、 2020年に導入した FTSE TPI Climate Transition インデックスを拡張し、 日本の株式市場を対象とするインデックスを提供開始したと2021年10月7日に発表した。 このインデックス・シリーズは、 気候データとサステナブル投資インデックス設計におけるFTSE Russellの専門知識に、 上場企業の気候変動への対応状況に関するTransition Pathway Initiative (TPI)の分析を組み合せたもの。

日本の投資家向けに新たに導入されたのは、 FTSE Japan TPI Climate Transition インデックス および FTSE All-World ex-Japan TPI Climate Transition インデックスの 2つのインデックス。

FTSE Japan TPI Climate Transition インデックスは、 日本の中・大型株の業績を示す時価総額加重インデックスであるFTSE Japan インデックスを基礎にしている。地球の温暖化を2℃未満に維持する低炭素移行シナリオと整合させるため、 FTSE Japan インデックスに対して、 透明性の高い基準を用いて加重の見直しが行われる。

この基準は、 地球温暖化ガス排出量および化石燃料埋蔵量データを用いて気候変動リスクを把握するだけでなく、 FTSE Russellの Green Revenue 2.0データ・モデルを用いた企業のグリーンレベニュー測定により、 気候変動に伴う機会も把握できるように設計されている。 また、 経営の品質についてTPI評価を組み入れ、 低炭素経済への移行に関する企業の計画を評価することにより、 FTSE Japan インデックスに将来を見据える特性を附与する。評価のための関連指標としては、 企業方針、 排出量報告および検証、 目標、 戦略的リスク評価、 役員報酬などがある。

FTSE Japan インデックスを構成する約500 社の日本企業のTPI 経営品質分析によると、 日本市場は過去3年、 FTSE Developed ex Japan インデックスを構成する1,500 社超の外国企業をアンダーパフォームしていたことが分かったが、 この差は縮小している。 2019年のFTSE Japan 構成企業の実績は平均 1.87 だったが、 2021年には 2.07に上昇している。

一方、 FTSE Developed ex Japan 構成企業の2019年の平均値は 2.23だったが、 2021年は2.20とやや減少した。 FTSE Russellによると日本のTPI 経営品質実績の近年における改善は、 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が推奨する気候関連開示事項に対する日本企業の強力な支持によるものとみられる。

産業別では、 日本のテクノロジー、 不動産、 エネルギー企業はFTSE Developed ex Japan インデックスにおける同業他社をアウトパフォームしているが、 資本財、 生活必需品、 金融、 一般消費財および公益企業は他の先進市場における企業をアンダーパフォームしている。

TPI メソドロジーの全容 → https://www.transitionpathwayinitiative.org/methodology (英語)

TPI はアセット・オーナーが主導するグローバルな取組みで、 アセットマネージャーに支持されており、 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのグランサム気候変動・環境研究所およびFTSE Russellがパートナーとなっている。 また29 兆ドル超の運用資産を有する 108の世界の投資家に支持されている。 TPI データはまた、 世界最大級の温室効果ガス排出量を有する企業が行う気候変動措置を評価するため、 Climate Action 100+に利用されている。

FTSE Russellサステナブル投資部門 日本代表 森敦仁氏は次のように述べている。

革新的なFTSE TPI Climate Transition インデックス・シリーズの日本市場への拡張について、 喜ばしく思います。 これらのベンチマークは、 幅広い株式市場へのエクスポージャーを保持しつつ、 投資家の皆さまのポートフォリオを2℃シナリオと整合させる効率的方法を提供します。 透明性の高い基準を採用して構築されたインデックスは、 脱炭素化、 気候への配慮を業務上の意思決定に組み入れようとしている企業を評価すべくインデックスの加重を見直すことで、 効果的な企業関与ツールとして機能します。 日本企業は、 最近とくにTCFDの気候報告基準を支持することで、 気候問題への関与の度合いを高めており、 このことがTPIの経営品質評価に反映され始めています。 当社ではすでに、 国内のアセット・オーナーの間で当インデックスへの関心が高まっていることを確認しています。

TPI会長 英国国教会年金理事会(CEPB)最高投資責任者のアダム・マシューズ氏は次のように述べている。

日本市場への投資家は、 低炭素移行のための信頼できる戦略を有する企業と有しない企業をはっきりと知りたがっています。 TPI が提供する、 地球温暖化ガス排出量の多い企業に対する包括的で厳格かつ公平な分析を利用することで、 FTSE TPI Climate Transition インデックス・シリーズの日本市場への拡張は、 この課題に対処するための重要な一歩となるでしょう。 TPIは、 企業の低炭素戦略がパリ協定の目標とどのように整合するかに関して透明性のあるデータを提供しますが、 これは投資家が情報に基づいた投資決定を行うために必要なものです。 10年の移行期間はすでに始まっており、 本件は、 日本でも他の地域でも気候変動への行動に取り組む企業が重視する質が高いデータに対して、 株式投資家および債務投資家の間で高まっている要求を満たすための重要な発展です。

FTSE Japan TPI Climate Transition インデックスについての詳細 → https://www.ftserussell.com/ja/products/indices/tpi-climate-transition