マルチファクター・スタイルで定義した投資スタイル概念を開発したラッセル・インベストメント(本社:米国ワシントン州シアトル市)は、今年2月に米国株インデックスに導入したディフェンシブ/ダイナミック・インデックスを、今回一万以上の銘柄からなる同社のグローバル株インデックスにも導入することを2011年10月19日発表した。
ラッセルのインデックス部門の調査・研究担当ディレクター、ロルフ・アガサー氏は、「ラッセルは、弊社が開発した新しい手法をより広範囲の株式や市場に採用したいという投資家のニーズに応えるべく、ディフェンシブ/ダイナミック・インデックスの対象を拡大しました。市場が大きく変動する状況下、投資家はリスクをこれまで以上に警戒する一方、長期的な値上がり益を求めています。運用会社調査および資本市場調査で培った知見を背景に、弊社は、さまざまなタイプのグローバル投資家が市場のサイクルを超えて長期的にポートフォリオの状態を改善させるための新たなアプローチを認識するに至りました」と述べている。
ラッセルのインデックス部門は、世界で初めて時価総額をベースとした規模別のインデックスを開発し、その後、成長株/割安株というマルチファクターをベースにしたインデックスの提供を始めるなど、インデックス分野の発展に主導的な役割を果たしてきた。今年、これらの伝統的な投資スタイルに加えて、企業を「クオリティ」と「ボラティリティ」という観点から評価するスタビリティ・インデックス・シリーズを導入した。
このスタビリティ・インデックスでは、株式市場をスタビリティという観点から二つに分け、より安定性が高いとされる半分を「ディフェンシブ」、安定性に乏しい半分を「ダイナミック」と呼んでいる。また、ラッセル・グローバル・ディフェンシブ/ダイナミック・インデックスは、ラッセル・グローバル株インデックスと同様のグローバル比較方式の構成方法を採用している。投資家がグローバル市場に、昨今どのようにアプローチしているかを反映し、株式のセクターやスタイルは、国単位よりも、地域単位でランク付けられている。その結果、ラッセルでは、「投資サイクルの範囲を超えて、広範囲の市場に投資するよりも、より小さなリスクで魅力的なリターンを実現する可能性を持った新たなグローバルベンチマークを開発することができました」と述べている。
インデックスストラテジーディレクター、小原沢則之氏は「世界および日本経済の先行き不安から、2011年の7月から9月までの3ヵ月間で、日本の株式市場は9.4%下落しました。この間、日本のダイナミック・インデックスが14.2%下落したのに対し、ディフェンシブ・インデックスの下落は1.5%にとどまりました。市場のボラティリティが歴史的に高くなっている昨今の環境下、ディフェンシブ・インデックスのリターンが示す防備的なスタイルの投資収益に妙味を感じる投資家も多いのではないでしょうか」と述べた。
実際、この新たなラッセル・グローバル・スタビリティ・インデックス・シリーズの過去の収益率の調査分析から、ラッセルは、ディフェンシブ・インデックスが、過去15年間にわたって、より高いリターンと低いボラティリティを実現しており、また、これまでの期間、相場の下落を和らげることに大きく成功していることを明らかにしている。一方、同調査では、ダイナミック・インデックスが景気拡大期および、市場上昇期に、市場全体よりも優れたパフォーマンスを示していることも明らかにしている。
ラッセル・グローバル・ディフェンシブ/ダイナミック・インデックスはラッセル・スタビリティ・インデックス・シリーズの一部で、同シリーズのより詳細な情報は同社ウェブサイトに掲載されている。
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