野村アセットマネジメント株式会社は2024年11月1日、「運用における責任投資の基本方針(以下、責任投資の基本方針)」及び「日本企業に対する議決権行使基準(以下、議決権行使基準)」を改定した。
今年度の改定は、実効性を伴うコーポレートガバナンスの強化に加え、資本コストや株価を意識した経営を後押しすることを目的としている。改定した主な項目は以下4点。
- モニタリング・ボード基準※:要件の1つに社外取締役が過半数を占めることを挙げている。これを独立性の要件(在任期間12年未満、独立役員として届け出、大株主出身者でない)を全て満たす社外取締役が過半数を占めること、に改定。
- ロールモデル基準※:特に注目するESG課題として挙げているESG課題を統合した情報開示、気候変動及び実効的なスキルを有する社外取締役に、新たにジェンダーの多様性を追加。
- 女性取締役の人数の最低水準:1名から10%に引き上げる。但し、投資先企業において対応する時間を確保するため、適用開始を2025年11月以降とする。
- 業績基準:資本コストや株価を意識した経営をさらに後押しするためキャッシュリッチ企業に対するROEの閾値を引き上げる。
また、2024年11月以降の開始を 公表していた次の基準の適用を予定通り開始する。
- 社外取締役の人数の最低水準について、「過半数」を原則とする。
- ロールモデル基準において、特に注目するESG課題への取組みが明らかに不十分と判断した場合、会長・社長等の取締役再任に反対する。
野村アセットマネジメントによると、同社は責任投資の基本方針において、「投資先企業の望ましい経営のあり方」を定め、顧客の資産を預かる運用受託機関として、投資先企業の企業価値の向上と持続的成長の実現に向けての継続的な働きかけを行っている。
また、「投資先企業の望ましい経営のあり方」の実現のためには、投資先企業の取締役会が社外取締役を中心に経営陣を監督するモニタリング・ボードに移行することが重要と考え、同社はこれを後押ししてきた。今回の改定も前回までに引き続き、モニタリング・ボードへの移行を含む実効的なESG課題の取組みを推進することを企図している。
野村アセットマネジメントは次のように述べている。
今後とも当社は、「責任ある投資家」として投資先企業に対し、目的を持った対話(エンゲージメント)や議決権行使等のスチュワードシップ活動に取り組むことで、投資先企業の企業価値の向上と持続的成長の実現を後押しするとともに、お客様の利益の最大化に努めてまいります。
→「日本企業に対する議決権行使基準」等の改定について
→ 運用における責任投資の基本方針
→「グローバルな議決権行使の基本方針」と「日本企業に対する議決権行使基準」