ブラックロック・ジャパンは、年金・金融法人のスペシャリストに向けた専門誌「オル・イン」と共同で実施した、AIJ 問題後の年金運営に関する緊急調査をもとに傾向分析を行なった。
<傾向分析概要>
- AIJ事件によって、1割程度の年金が投資顧問やオルタナティブの解約等の行動を起こしたが、9割の年金は現状を維持。
- AIJ 事件後の方針において、「ガバナンスの強化」、「専門性の向上」、「運用機関選定の厳格化」が課題として挙げられている。
- ガバナンス強化に関する今後の方針としては、約6割が「総幹事依存を高める」と回答、3割が「コンサルタントへの依存強化」を求めていることを示しており、外部依存度を高める傾向が見られる。
- 年金制度に関する今後の方針としては、5 割前後の年金が予定比率の引き下げを検討しており、3 割程度が掛金引き上げ、給付引き下げを検討している。
- 運用の課題としては、6 割の年金が下振れリスク抑制を最優先と回答。ついで、資産配分変更、株式ポートフォリオの再検討となっており、従来型管理手法、リスクの高い株式への対応も引き続き検討されている。
調査を統括した、ブラックロック・ジャパン株式会社コンサルタント・リレーションズ部長 川原淳次氏は、次のように述べている。
今後は、年金運営の高度化が求められています。そのために、更なる低リスク化が進行すると考えられ、負債・資産の両側面からのアプローチが行われようとしています。そして、資産運用には、より負債を意識した運用や伝統的資産からオルタナティブへのニーズも継続されると考えられます。このような環境下では、運用の複雑化や負債とのマッチングも含め、統合的なリスク管理が必要になります。また、そのためのガバナンス構築も同時進行する必要があることから、限られた資源・時間の中で、資産全体を見渡すことができるパートナーが、今こそ求められていると思われます。
年金運営に関する緊急調査における傾向分析の詳細はブラックロック・ジャパンのホームページで閲覧できる。
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