コモンズ投信株式会社は、「顧客本位の業務運営に関する原則」を採択することを平成29年6月30日に宣言したが、同社は2018年11月7日に、2018年3月末及び9月末時点のその取組状況について以下のように報告・公表した。
【ご報告内容】
コモンズ投信では、金融庁が示した「共通KPI」に基づいたものと、同社独自の取組状況について次の項目について報告している。
- 投資信託の運用損益別顧客比率
- 投資信託預り残高上位20銘柄のコスト・リターン/リスク・リターン(コモンズ30ファンドが対象)
- 顧客への最良のサービスの提供に関する取組状況
- 私たちが考える、お客さまの最善の利益の追求と商品・サービスの「見える化」に関する取組状況
- その他
【1. 投資信託の運用損益別顧客比率】
2018年3月末時点の投資信託残高に対するトータルリターンでは、97.7%のお客様が、2018年9月末時点では99.7%のお客さまが運用損益でプラス、となっています。
投資信託の運用損益別顧客比率(2018年3月末現在)
投資信託の運用損益別顧客比率(2018年9月末現在)
※各時点で残高ありの口座が対象(法人口座含む、ただし、相続等により購入データの存在しない顧客は集計対象外としてここには含まない)。
※運用損益は、各基準日時点の評価金額+累計売付金額 – 累計買付金額にて算出(分配金(税引後)はすべて自動的に再投資買付が行われ、累計買付金額には含まれない)。
※累計買付金額、累計売付金額は2009年1月19日のコモンズ30ファンドの設定日から、当該月末までの通常の取引データを基に集計(移管等は含まず)。
※運用損益率は、上記運用損益を基準日(2018年3月末時点と9月末時点)の評価金額で除して算出。
【2. 投資信託の預り残高上位20銘柄のコスト・リターン/リスク・リターン】
(コモンズ投信が運用・販売する投資信託のうち、設定後5年以上となるコモンズ30ファンドを対象に算出)
※コスト…信託報酬率を使用(販売手数料はない)。2017年9月18日までの信託報酬率は1.2420%(税込)、2017年9月19日以降は1.0584%(税込)を日割按分して計算。
※リターン…過去5年間のトータルリターン(年率換算)。騰落率算出の際に用いた基準価額は分配金再投資後(税引前)を使用。
※リスク…過去5年間の月次リターンの標準偏差(年率換算)。騰落率算出の際に用いた基準価額は分配金再投資後(税引前)を使用。
**当資料で示した実績は、過去の一定期間の実績を示したものであり、将来の運用成果を予想・あるいは保証するものではない。
【3. お客様への最良のサービスの提供に関する取組状況】
コモンズ投信では、次のように述べている。
私たちの「お客さま本位の業務運営」の精神は、当社の創業時からの企業文化として根付いていると自負しています。その原点は、自身がお客さまであったら「こうして欲しいな」と思うサービスを心がけ、「今日よりも、よい明日」を考える長期的な資産形成を応援するサービスにこだわるところにあります。
○アクションプラン例
- 年間、代償通じて100回程度のセミナーを開催する。
- 親子向け金融教育セミナー、こども向け社会を学ぶセミナーの定期的な開催
- パートナーとの連携の拡充
2017年度、セミナー開催回数は、コモンズ主催と提携先・他社共催を含めると135回に及んだ。初心者向けを中心とするセミナーは月平均5回のペースで開催、運用報告会は東京・大阪・名古屋・福岡にて4半期に1度開催し、運用責任者・アナリストが直接顧客に運用状況を説明した。
また、親子向け金融教育セミナー、こども向け社会を学ぶセミナーについては、コモンズ30ファンド投資先企業であるシスメックスへの企業訪問をはじめとし、協業先である学童保育所を運営するウィズダムアカデミーと夏休み・冬休みのセミナー、2017年度SEEDCap応援先のmore treesとの積木を使ったワークショップの開催、さらには、足利銀行、北海道銀行などとも金融教育セミナーを開催した。
また、パートナーとの連携の拡充も進んだ。2017年度、コモンズ30ファンドの販売提携先は12社から24社へ、ザ・2020ビジョンの販売先は5社から8社に増加している。コモンズ投信は、「『つみたてを通じた資産形成』を共に進める共創相手として、多くの金融機関が参画してくださったことは大変嬉しく思っております」とコメントしている。
【4. 私たちが考える、お客さまの最善の利益の追求と商品・サービスの「見える化」に関する取組状況】
コモンズ投信は、「私たちが考えるお客さまの最善の利益は、経済的な利益だけとは考えておりません。投資信託からの経済的な利益は勿論、その先にある豊かなくらしまでを最善の利益として提供できるように業務に取り組んでいきます」と述べている。
○アクションプラン例
- 長期的な資産形成の有効性を発信していく。
- 長期投資、つみたて投資に関する情報を拡充していく。
- お客さまと企業との対話の機会を拡充していく。
- 議決権行使の考え方、個別の議決権行使の開示にも積極的に取り組む。
- 社会起業家や障がい者スポーツの応援を拡充していく。
コモンズ投信は、顧客への情報発信ツールとして、週1回のメルマガ、月1回の月次レターに加え、ブログなども活用し、長期的な資産形成・つみたて投資の有効性などを繰り返し伝えている。「つみたてキャンペーン」と連動したセミナー企画・また、「コツコツつみたてブログ」の連載等を行い、初めての人でも安心して資産形成を続けられる仕組みづくりを行ってきた。
また、顧客と企業との対話の場として定期開催しているコモンズ30塾について、2017年度はリンナイ、シスメックス、日立、デンソーとの対話が実現した。
なお、議決権行使状況については、2017年12月に行使結果の開示を行った。今後さらなる開示の充実を図る。
【5. その他】
(アクションプラン例として挙げたものから主な項目の検証結果を以下に記載)
◆ お客さまにご負担いただく手数料や費用のあり方
お客さまにご負担いただく手数料・費用については適切であると判断している。
◆ 利益相反の防止の徹底
フィデューシャリー推進委員会を2018年6月19日に実施した。主なテーマと意見は次の通り。
◇ 最良のサービスの提供
- 定量的なKPIに加え、企業理念や運用哲学を重視されるコモンズ投信の特徴もしっかり伝える工夫が必要ではないか。
- 米国でもそうだが、運用会社の弱みの一つに最終顧客の情報を持っていないことがある。コモンズ投信は、直販によりお客さまの顔まで見えている。その強みをサービスに発揮していくべき。
◇ 利益相反
- 利益相反は大変重要な課題。株主、投資先企業、販売委託先などとの取引は、しっかりと管理・説明していくことが重要。また、この点における内部管理体制の充実も必要。
- 販売委託先との利益相反についての対応がしっかりしていることは、ブランディングにも通じる。
◇ その他
- まだまだ、コモンズ投信はブランド力が不足している。「お客さま本位の業務運営=フィデューシャリー・デューティーと言えば、コモンズ投信」というようなブランディングも有効ではないか。
- コモンズ投信は、企業理念を大切にする会社であるので、その取り組みや社内での浸透度合いなども見える化することは大切。その理念を販売委託先とも共有していくことも重要。
【外部委員(敬称略)】
小林いずみ氏・・・ANAホールディング株式会社取締役(社外)、三井物産株式会社取締役(社外)、サントリーホールディングス株式会社取締役(社外)など。
藤沢久美氏・・・ソフィアバンク代表、一般財団法人投資信託協会理事、一般社団法人日本証券業協会理事、株式会社静岡銀行取締役(社外)、豊田通商株式会社取締役(社外)など。
沼田優子氏・・・明治大学特任教授
増田英次氏・・・増田パートナーズ法律事務所パートナー、GMOインターネット株式会社取締役(独立役員)、株式会社じぶん銀行 社外監査役、コモンズ投信株式会社社外監査役など
◆ 商品・サービスの【見える化】への取組
Webサイトの利用状況の分析や、顧客の声を大切に情報伝達手段の高度化を図る取組については、チャットボットの導入により顧客からのサポート体制の充実を実現、また、セミナーやイベントにて必ず顧客アンケートを実施し、その声から内容や運営方法の見直しを適宜行っている。
また、顧客と共にサービス向上を考える取組として、コモンズパートナーズミーティングを2018年度より開催している。
◆ 社員の日常とその成長への取組
社員参加によるコモンズ投信の理念作りに着手。定期的なワークショップを通じ、様々な価値観を持つメンバーとのディスカッションの場を設けている。仲間をリスペクトし、リーダーシップとフォロワーシップを相互に発揮する企業文化の定着を目指している。