ブラックロック・ジャパン、日本では第1回目となるグローバルな投資家動向調査の結果を発表


ブラックロック・ジャパン株式会社は、2013年と比べるとグローバル経済に明るい兆しが見え始め、アベノミクスが始まってから1年以上が過ぎる中、グローバルな投資家動向調査(インベスター・パルス・サーベイ)の結果を発表した。この調査結果は、ブラックロック(本社、ニューヨーク)がグローバル20カ国、27,500人の個人を対象に実施した「インベスター・パルス・サーベイ(投資家動向調査)」によるもの。日本では1,000 人(対象年齢25〜74 歳。金融資産1,000万円以上のマス富裕層410人を含む)を対象に調査が実施された※1。

ブラックロック・ジャパンによると、日本人の個人投資家の心理と投資行動に関して浮き彫りになったのは、以下の3点。

  • 多くの日本人は、快適な退職後の生活を送ることができないのではないかと感じており、自身の将来の経済状況に対して悲観的である。
  • 投資に関して十分な知識がないと考えている日本人は多く、収入から投資に回す比率は日本以外の多くの国を下回っており、保有資産に占める現預金比率は、グローバルよりも高くなっている。
  • ファイナンシャル・アドバイザー※2の活用により、将来のマネープランについてコントロールできていると感じる人や自身の投資判断に自信を持った人の比率が明らかに高まった。

※1 調査は、調査会社シセロ・グループに委託し、2014年7日〜8日にインターネットで行なわれた。
※2 本レポート内に記載されているファイナンシャル・アドバイスは「銀行、証券会社、保険会社」に所属する営業員、または個人のアドバイザーによるアドバイスを指す。

今回の調査では、日本人のうち、自身の将来のマネープランについて悲観的な回答をした人は72%にのぼった。グローバルではこの悲観的な回答は41%に、アジア諸国では34%にとどまっており、日本の結果は全調査対象国の中で最も悲観的なものだった。さらに、日本人の中で、快適な退職後の生活を送れないかもしれないという心配を抱いている対象者は75%にのぼった。一方で、現在、退職資金の準備を始めていると回答した率は42%に留まり、グローバルの62%を大きく下回った。ブラックロックでは、この不安は、年金は退職後の収入として十分ではないのではないかとの懸念から発生するものであり、日本人の寿命が世界で最も高いことを考えると、退職への備えはとても重要であるとしている。また、半数以上(53%)の人が蓄えを使い果たすのではないかと懸念しており、寿命が伸びたことに対応して退職年齢を引き上げるべきだと考えている人も同じく53%となっている。これに対し、ブラックロックでは、退職年齢を引き上げることだけが対応策ではないはずであり、蓄えを全体的に押し上げ、積極的に退職後に備えることが重要であると述べている。

また、日本人の投資比率の低さなどについて、ブラックロックでは次のように述べている。

日本では、収入の21%が貯蓄に、11%が投資に振り向けられているに過ぎませんが、例えば、アジアでは、27%が貯蓄に、24%が投資に振り向けられています。つまり、日本では将来に対して十分な備えを行なっているとはいい難い状況となっています。この背景としては、日本における生活費の高さがあるものと思われます。日本では、給与の68%が住宅関連費や生活費に費やされています。また、保有資産に占める現預金の比率は63%と、アジアの42%、グローバルの53%を大きく上回っており、現預金への集中傾向が顕著に見られます。

一方で、投資に関する知識を向上させることで、日本人が将来への備えを積極的に行なう可能性はあるのではないかと考えられます。既に、40%の人は、投資について学ぶことに興味を持っています。そして、最初に背中を押すきっかけがあるとすると、それはファイナンシャル・アドバイスを受けることかもしれません。国際的に見て、日本におけるファイナンシャル・アドバイスの普及率は低くなっていますが、アドバイスを受けた人の満足度は9 割を超えています。また、アドバイスを受けた人では、将来の経済的な見通し、退職後に向けた準備状況はいずれも改善傾向にあるようです。将来のマネープランについてコントロールできている、と回答した日本人は、全体では39%ですが、アドバイスを受けた人は53%となっています。退職後の資金は十分用意していると回答した日本人は13%にとどまりますが、アドバイスを受けた人に関しては27%という結果でした。さらに、収入から投資に回す比率を見ると、前述のように日本人全体では11%であった一方で、アドバイスを受けた人における比率は27%となっています。

ブラックロック・ジャパン株式会社代表取締役社長の出川昌人氏は、今回の調査結果について、次のように述べています。

「日本の投資家の方の多くは、将来のマネープランに対して不安を感じている一方で、今後インフレが起こった際のリスク要因となる預貯金にご資産を集中されている方が多いと思います。より多くの日本の投資家の方が、預貯金への集中から脱却するためには、信頼できるファイナンシャル・アドバイザーの積極的な活用が、その鍵となる可能性があるでしょう。」