米ステート・ストリート・コーポレーション(本社:ボストン)の資産運用部門であるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(以下、「SSGA」)は、2017年12月6日、2018年グローバル市場の見通しを発表した。そのなかで、SSGAは、2018年の市場はリスク資産が支えられる展開となる一方、景気サイクルの成熟期入りと構造的な不確実性へ一定の警戒が必要と述べている。
SSGAは、2018年には、世界経済の拡大基調がより均等に各国地域に広がるなかで、成長率が歴史的トレンドである3.7%まで回復し、企業業績を支えることから、株価のさらなる上昇を予想している。また、米国では大型株から小型株まで最良の投資機会が広がり、米国以外の先進国市場では特に日本と欧州の株式が魅力を増すと見ている。
SSGA最高投資責任者であるリック・ラカイエ氏は次のようにコメントしている。
世界経済は、穏やかな物価上昇のなかで、緩やかながら確実に回復し、株価の持続的な上昇につながるマクロ環境がもたらされると考えられます。バリュエーションは、バブル気味の一部のセクターを除けば、現在の金利水準から見ると適正価格を下回ったままです。先進国で最も魅力的な株式市場は、相対的に低い金利と通貨安が続く日本です。
SSGAは、異次元金融緩和政策から金融正常化への流れは、資産クラス間の相関性の低下と相まって、株式のアクティブ運用会社にはさらなる追い風になると予想している。
SSGA副最高投資責任者であるロリ・ハイネル氏は次のように述べている。
世界金融危機以来の史上最低金利と中央銀行の資産購入政策が生み出した流動性は、相関性の高まりとボラティリティの低下を招き、アクティブ運用会社を悩ませてきました。その環境が変わり始めています。しかし、スマートベータやコアなインデックス投資とともに適正なバランスを確保するために、『どこに』、『いつ』、『どのように』アクティブ運用を選定するかが非常に重要です。
債券市場についても、SSGAはより投資機会が増えると予想している。低インフレにもかかわらず、米国連邦制度準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)による金融引き締めの可能性はあるが、SSGAでは金利が相対的に低水準にとどまる状況は続くと想定している。
ラカイエ氏は次のようにコメントしている。
2018年を迎えて、債券市場で強気相場が勢いを増すことは考えられません。しかし、FRBの追加利上げや他の中央銀行による資産購入の縮小が予想されるなかでも、弱気な見方が再び間違いであることが判明すると思います。それはすなわち、投資家はデュレーションとクレジット・リスクについて慎重にバランスを取る必要があることを意味します。新興国債券は徐々にバリュエーションの魅力が低下してきたため、運用においてクオリティの重視が引き続き有効に機能すると思われます。
SSGAの市場展望は、成長サイクルが8年に入ったことから、一部の投資家が成長後退への警戒感を強めていることに触れる形で、注意を喚起している。
その点について、ハイネル氏は次のように説明している。
ボラティリティが低水準にとどまる一方、スキュー(SKEW)指数の上昇が続いていますが、そのことは投資家が確率的には極めて低いものの、発生すると非常に大きな損失をもたらす市場調整について懸念していることを示唆しています。つまり、成長サイクルにおいて、投資家がポートフォリオのテールリスクへの備えを見直すべき時期を迎えているわけです。とはいえ、ファンダメンタルズが良好であることには変わりはありません。そのため、投資家には双方への備えが必要です。つまり、予想される世界経済の同時成長がもたらす収益機会を最大限に実現するために、一歩前に進み出る一方、より慎重にリスクを考慮したスタンスを取る必要があります。
⇨「2018年グローバル市場展望」全文(英語)