アクティブ運用とは #
アクティブ(active)とは、英語で「積極的な」「活発な」という意味ですが、運用の世界で「アクティブ運用」というと、ファンドマネージャーが独自の知識・経験・ノウハウを活用して投資判断を行い、ベンチマークよりもよい運用成果を目指す運用のことを指します。アクティブ運用で運用される投資信託をアクティブファンドと呼びます。
アクティブ運用では、一定の仕組みやコンピュータープログラムによる機械的な運用を行わないため、ファンドマネージャーの力量が問われることになります。アクティブ運用は、投資信託の運用において最も基本となる運用形態で、要は、「人間の判断」による運用ということです。
アクティブファンドの特徴 #
アクティブファンドの特徴として次が挙げられます。
- ファンドマネージャーによる運用
- アクティブファンドでは、専門のファンドマネージャーが市場や個別銘柄の分析を行い、投資判断を下します。これにより、目論見書の運用方針に従って、株式、債券、不動産、コモディティなど、様々な資産に柔軟に投資し、市場環境に応じてポートフォリオを調整します。
- ベンチマークを上回るリターンを目指す
- ファンドは、特定のベンチマーク(例えば、日経平均株価やS&P 500指数)を設定し、そのベンチマークを上回るパフォーマンスを目標とします。このため、ファンドマネージャーは、市場を上回るリターンを得られると判断した銘柄や資産を積極的に選びます。
- 積極的な売買
- 市場の変動や新しい投資機会に応じて、頻繁に銘柄の売買を行うことがあります。これにより、市場の短期的な変動を利用して利益を上げることを目指すこともあります。
- リスクの柔軟な管理
- アクティブファンドでは、ファンドマネージャーがリスクを積極的に管理します。市場の下落が予測される場合、ポートフォリオを防御的に調整することでリスクを減らすことが可能です。
- コストが高め
- ファンドマネージャーによる積極的な運用や市場調査が必要なため、アクティブファンドはインデックスファンドと比べて運用コストが高めです。これは信託報酬や取引手数料などに反映されます。
アクティブファンドの目論見書の記載例 #
ファンドがアクティブ運用を行うかどうかは目論見書の内容で判断します。
ファンドの目論見書や資料には、「主としてわが国の株式等に投資し、アクティブ運用を行います」、「このファンドはアクティブに運用します」という記載がある場合には、アクティブ運用のファンドであることを意味しています。
なお、ベンチマークを上回る投資成果を目指すのがアクティブ運用であるのに対して、ベンチマークと同程度の運用成果を目指す運用を「パッシブ運用」「インデックス運用」と呼びます。パッシブ(passive)とは、英語で「受動的な」「消極的な」という意味です。インデックスファンドがこれに該当します。
アクティブファンドのデメリット #
ベンチマークを上回るというのは、一見魅力的に聞こえますが、アクティブファンドには次のデメリットがあります。
コストが高い #
- アクティブファンドは、インデックスファンドと比べて運用コストが高く、これが長期的にはリターンに悪影響を及ぼすことがあります。特に、ベンチマークを上回れない場合、コストが大きな負担となることがあります。
市場に勝てないリスク #
- アクティブファンドはベンチマークを上回ることを目指していますが、全てのファンドがこれに成功するわけではありません。多くのアクティブファンドは、コストや市場の変動により、長期的にはベンチマークを下回るパフォーマンスを見せることがあります。
ベンチマークに勝てるファンドマネージャーを見つけるのは難しい #
- たとえ、ファンドがベンチマークを上回る投資成果を目指しているとしても、実際に、どのアクティブファンドがベンチマークを上回る投資成果を達成できるのかをあらかじめ知ることはできません。過去の運用成績などで判断するしかないのが現状です。しかし、過去においてベンチマークに勝っていたファンドが長期にわたりベンチマークに勝ち続けるとは限らないのが現状です。
アクティブファンドのまとめ #
アクティブファンドは、ファンドマネージャーが主体的に銘柄選択や資産配分を行い、ベンチマークを上回る成果を目指す投資信託です。市場分析や専門知識を活かして運用されますが、運用成績はマネージャーの判断に大きく依存し、必ずしも成功が保証されるわけではありません。また、運用手数料が高めで、利益が出てもベンチマークを下回るケースもあります。そのため、優れたファンドマネージャーを見つけることが重要ですが、長期的に市場を上回る運用が継続できるかは予測が難しいのが実情です。