投資信託の投資対象の一つに政府機関債があります。政府機関債は、政府関係機関や特殊法人が発行する債券のことです。
日本における政府機関債 #
日本では、政府機関債は、政府関係機関や特殊法人が特別な法律に基づいて発行する債券です。政府による保証があるものとないものがあります。保証があるものを政府保証債、保証がないものを非政府保証債とも呼びます。満期までの期間は2年から40年までのものがあります。非政府保証債のうち、公団や公庫などの特殊法人が公募形式で発行するものを財投機関債と呼びます。政府機関債の信用リスクは、格付機関により付与された格付で知ることができます。
令和6年度の政府保証債の発行体と発行予定額は次の通りです。
機関名 | 発行予定額の合計 |
---|---|
(株)国際協力銀行 | 14,385 |
(独)国際協力機構(JICA) | 1,650 |
(独)日本高速道路保有・ 債務返済機構 | 10,230 |
(独)住宅金融支援機構 | 2,400 |
(株)日本政策投資銀行 | 3,500 |
預金保険機構 | 1,800 |
(株)産業革新投資機構 | 3,000 |
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 | 2,500 |
(株)民間資金等活用事業推進機構 | 500 |
(株)海外交通・都市開発事業支援機構 | 626 |
(株)海外通信・放送・郵便事業支援機構 | 240 |
(一財)民間都市開発推進機構 | 500 |
中部国際空港(株) | 235 |
地方公共団体金融機構 | 2,700 |
合 計 | 44,266 |
政府機関債の信用リスク #
債券投資において重要となるのは、債券の信用リスクです。この信用リスクを表すのが専門の格付機関が付与する格付という評価です。政府機関債の多くは高い格付を付与されており、民間の企業が発行する債券に比べると信用リスクは小さい傾向にあります。
格付機関の一つである「格付投資情報センター」による日本の政府機関債の格付はこちらのページで確認できます。
米国の政府機関債 #
米国の政府機関債には、GSE government sponsored enterpriseと呼ばれる政府支援機関が発行する債券と連邦政府機関が発行する債券があります。
代表的なGSE:
- 連邦住宅抵当公庫(Fannie Mae)
- 連邦住宅金融抵当公庫(Freddie Mac)
- 連邦住宅貸付銀行(the Federal Home Loan Banks)
米国の政府機関債の発行残高の推移は次のように、全般に減少傾向にあります。
政府機関債を投資対象とするファンド #
投資信託には、政府機関債を主な投資対象とするファンドと、政府機関債も投資対象の一つとしているファンドがあります。
米国政府機関債を主な投資対象とする米国ファンドの例 #
- Vanguard GNMA Fund (VFIIX)
- Fidelity Government Income Fund (FGOVX)
米国政府機関債を含む幅広い債券に投資する米国ファンドの例 #
- PIMCO Income Fund (PONAX)
- Vanguard Total Bond Market Index Fund (VBTLX)
日本の投資信託で、政府機関債を投資対象に含むファンド #
日本の投資信託で、政府機関債に投資するファンドはいくつか存在しますが、主に米国の政府機関債券や他国の公的債券に投資するタイプのファンドが中心です。以下は日本の債券に投資するファンドで、政府機関債も投資対象としているファンドです。
- 明治安田日本債券オープン(毎月決算型)
- 損保ジャパン日本債券ファンド
- 野村国内債券インデックスファンド
政府機関債を投資対象とするファンドの特徴は、主に低リスクと安定した収益です。これらのファンドは、政府や政府関連機関が発行する債券に投資するため、信用リスクが低く、比較的安全な投資対象と位置付けられています。また、国債よりも若干高い利回りを提供する傾向にあります。ファンドは、長期的な安定収入を求める投資家に向いており、特に保守的な投資家に適した選択肢とされています。ただし、上記のファンドは、一部に政府機関債が含まれているにすぎず、信用リスクは、その他の組み入れ債券の信用リスクにより異なります。
政府機関債のまとめ #
政府機関債は、政府関係機関や特殊法人が発行する債券で、信用リスクが低いとされる投資対象です。日本では、政府保証の有無で「政府保証債」と「非政府保証債」に分類され、米国では政府支援機関(GSE)や連邦政府機関が発行します。これらは国内外の投資信託で幅広く活用されています。