オルタナティブ投資 #
オルタナティブ投資とは、株式や債券といった伝統的資産に投資し、その値上がり益や配当収入を期待するといった運用手法とは異なる投資手法を意味しています。つまり、インフラストラクチャー、プライベート・エクイティ、不動産空売り、先物・オプションなどの金融派生商品等を活用して、相場の動向にかかわらず収益の確保を目指す運用手法のことです。オルタナティブ投資は代替投資とも呼ばれます。対象とするオルタナティブはファンドにより異なります。
具体的にはヘッジファンド、ヘッジファンドのファンド・オブ・ファンズ、未公開株、マネージド・フューチャーズ、マネージド・カレンシー、不動産、ベンチャーキャピタル等、幅広い投資がオルタナティブ投資に含まれますが、ヘッジファンド=オルタナティブ投資として使われることが多く見られます。
ヘッジファンド #
ヘッジファンドというのはミューチュアルファンドのように米国(あるいは日本など)の法律で定義された言葉ではなりません。株式会社、投資会社(investment company)、証券会社のように米国の連邦法によって規制を受けない様々な形態の投資ファンドを指す言葉として利用されています。ヘッジファンドは通常、課税を回避するために、米国外にリミテッド・パートナーシップとして設立されています。
また、米国で活動するヘッジファンドの場合は、Investment Company Act of 1940やSecurities Act of 1993等における適用除外条項を利用して設立することで、様々な法律・規制の影響を免れています。例えば、Investment Company Act of 1940においては、投資家の数が100人未満であり、個人であれば500万ドル、法人であれば2500万ドルの資産を持つ適格投資家のみを対象としていれば、ファンドの公募や一般向けの宣伝・広告活動を行うことは禁止されるものの、同法律の適用から除外されることが可能となります。したがって、ミューチュアル・ファンドにおいて制限されているショート・セリングとデリバティブ取引を活用することが可能となるなど運用面での規制がありません。
年金基金も利用するオルタナティブ投資 #
米国においては、オルタナティブ投資は、年金基金のようなこれまで保守的と見られてきた投資家にも拡大しています。米国最大(世界第三位)の公的年金基金であるカリフォルニア教職員退職共済年金(CalPERS)が2000年代初頭からオルタナティブ投資(インフラストラクチャー、プライベート・エクイティ、不動産を行なっています。また、私たちの公的年金の運用を行うGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人) は、2013年度からオルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベート・エクイティ、不動産)に投資しています。2024年3月末時点のオルタナティブ資産全体の時価総額は3兆6,972 億円(年金積立金全体に占める割合は1.46%)です。
オルタナティブ投資のまとめ #
オルタナティブ投資とは、株式や債券といった伝統的資産以外の投資手法を指し、ヘッジファンドや未公開株、不動産、インフラ、プライベート・エクイティなどが含まれます。この手法は相場の動向に関係なく収益を狙うもので、年金基金などの大規模投資家にも採用されています。日本のGPIFもオルタナティブ資産に投資しており、2024年3月末時点で全資産の1.46%を占めています。