不動産投資信託の規約 #
不動産投資信託の規約とは、不動産投資信託の運営についての根本的な規則を書面化したもので、投資信託及び投資法人に関する法律により、不動産投資法人を設立するには、設立企画人がこの規約を作成し、その全員がこれに署名(又は記名押印)しなければならないと定められています。株式会社の定款に該当するものです。
不動産投資法人の設立企画人は、投資法人を設立しようとするときは、その旨並びに設立時執行役員の候補者の氏名及び住所を内閣総理大臣に届け出ますが、この届け出には、規約も提出します。
不動産投資信託の規約に記載する事項 #
投資信託及び投資法人に関する法律(第67条)において、不動産投資法人を含む投資法人の規約には次の事項を記載することが定められています。
- 投資法人の目的
- 商号
- 投資主の請求により投資口の払い戻しをする旨又はしない旨
- 投資法人が発行することができる投資口の総口数(発行可能投資口総口数)
- 設立に際して出資される金銭の額
- 投資法人が常時保持する最低限度の純資産額
- 資産運用の対象及び方針
- 資産評価の方法、基準及び基準日
- 金銭の分配の方針
- 決算期
- 本店の所在地
- 執行役員、監督役員及び会計監査人の報酬の額又は報酬の支払に関する基準
- 資産運用会社に対する資産運用報酬の額又は資産運用報酬の支払に関する基準
- 投資法人の成立時の一般事務受託者、資産運用会社及び資産保管会社となるべき者の氏名又は名称及び住所並びにこれらの者と締結すべき契約の概要
- 借入金及び投資法人債発行の限度額
- 設立企画人の氏名又は名称及び住所
- 投資法人の成立により設立企画人が受ける報酬その他の特別の利益の有無並びに特別の利益があるときはその設立企画人の氏名又は名称及び金額
- 投資法人の負担する設立に関する費用の有無並びにその費用があるときはその内容及び金額
規約の変更 #
不動産投資信託(不動産投資法人)は、成立後に、規約を変更する場合には、投資主総会の決議を行う必要があります。投信法では、発行済投資口の過半数の投資口を有する投資主が出席した投資主総会において、出席した当該投資主の議決権の3分の2以上にあたる多数をもって、規約の変更に関する議案が可決される必要があります。
例えば、過去の例では、さくら総合リート投資法人(3473)(2020年8月1日にスターアジア不動産投資法人と合併し、消滅)が、決算期を2月・8月から6月・12月期に変更するという規約変更について2018年5月31日に開催された投資主総会において承認を得て、決算期を変更しました。
なお、各不動産投資信託の規約は、各社のHPに掲載されています。
不動産投資信託の規約のまとめ #
不動産投資信託(J-REIT)の規約は、投資法人の運営や投資方針、分配方針、リスク管理の基準などを定めた重要な文書です。規約には、投資対象の種類や資産運用の範囲、投資家への利益分配に関するルール、役員の選任や解任の手続きが記載されており、投資家保護と透明性を確保する役割を果たしています。規約の変更は、投資主総会での承認が必要です。