アセット・アロケーション #
アセット・アロケーションとは、投資資金を複数の異なった資産(Asset)に配分(Allocation)する投資戦略(投資手法)のことです。そうすることで、ファンドや投資家のリスク許容度に応じたリスクを取りつつ、最適なリターンの獲得を目指します。
この投資戦略を用いたファンドは投資する資産を、株式のみ、あるいは、債券のみ、というように限定せず、リスクを考慮しながら、市場環境に応じて複数の投資資産に分散投資します。例えば、株式に40%、債券に30%、商品に10%、短期金融商品に20%のように資産配分を行います。各運用会社は独自の方法に基づいてリスクとリターンを分析し、資金の配分比率を決定しています。
2つのアセット・アロケーション手法 #
アセット・アロケーション戦略には大きく分けて2つの手法があります。一つは一旦、配分比率を決定したら、その後は配分比率を変更しない運用手法と、市場環境に応じて臨機応変に各資産への投資比率を変更する運用手法です。
配分比率を変更しない手法 #
配分比率を変更しない手法では、例えば、株式に40%、債券に40%、不動産投資信託に15%、短期金融商品に5%という配分を決めたら、その割合を維持します。市場の変動によって、配分比率が上下した場合には、割合が増えた資産を売却し、割合が減少した資産を購入するなどといったリバランスと呼ばれる調整を行い、再び最初の配分比率に戻します。
配分比率を機動的に変更する手法 #
市場環境に応じて機動的に配分比率を変更する手法では、特定のリスク許容度やリターン目標に基づき、市場予測を元にした調整を行います。この方法には、ダイナミック・アセット・アロケーションと呼ばれる手法とTAA(Tactical Asset Allocation=戦術的資産配分)と呼ばれる手法があります。
ダイナミック・アセット・アロケーション #
ダイナミック・アセット・アロケーションは市場環境に応じて機動的に配分比率を変更しますが、より長期的な市場予測を元にした調整を行います。たとえば、株式市場の長期的見通しが好調だと判断した場合に、ポートフォリオ内の資産比率を、時間をかけて株式への配分を増やして、債券への配分を減らすなど柔軟に変更します。
タクティカル・アセット・アロケーション #
一方で、リスクとリターンの関係を分析することにより組み入れ資産の最適な組入れ比率を、一定の運用ルールのもとでより機動的に変更することにより、運用成果の向上をめざす運用手法をTAA(Tactical Asset Allocation=戦術的資産配分)と呼びます。ダイナミック・アセット・アロケーションに比べてより短期的な市場機会を捉えるための戦略です。たとえば、特定の市場やセクターが短期的に成長すると予想される場合、そのセクターへの投資比率を一時的に高めたりします。
アセット・アロケーションのまとめ #
アセット・アロケーションとは、投資資金を複数の資産に配分することで、リスクとリターンを最適化する投資戦略です。配分方法には、固定した比率を維持しリバランスを行う手法と、市場環境に応じて機動的に比率を変更する手法があります。後者には、長期的予測に基づくダイナミック・アセット・アロケーションと、短期的な市場機会を捉えるTAA(戦術的資産配分)があります。この戦略により、リスク分散と市場環境への柔軟な対応が可能になります。