債券ファンドの平均格付 #
債券ファンドの「平均格付」は、ファンドが保有している複数の債券の信用格付けを基に計算された、ファンド全体のリスクレベルや信用力を示す指標です。ファンドが組み入れている債券の格付を、組み入れ比率によって加重平均したものです。
債券の格付けは、各債券発行体(企業や政府)の信用リスクを評価するものであり、格付けが高いほど発行体のデフォルト(債務不履行)のリスクが低いことを示します。
平均格付の記載例:
債券に投資する投資信託の目論見書などに、「ポートフォリオの全体の平均格付けを原則としてAAとします」などという記載がある場合があります。これは、ファンドが組み入れている債券の格付を平均(加重平均)したものがAA(「ダブルA」と読む)となるように、様々な債券を組み合わせて投資するということです。なお、格付は、格付機関と呼ばれる専門の会社が各債券に対して付与しています。
平均格付の仕組み #
債券ファンドは、さまざまな発行体や満期を持つ複数の債券に投資しています。各債券には、信用格付機関(たとえば、S&P Global Ratings、ムーディーズ、フィッチなど)が信用格付を付与しています。これらの格付けは、AAA、AA、A、BBBなどのように、信用力の高い順に評価されます。
債券ファンドの「平均格付」は、ファンドが保有している債券の各格付けに対して、ファンド内での比重(投資額の割合)を考慮して計算されます。具体的には、ファンド内の各債券の格付けとその債券の保有割合を掛け合わせて、ファンド全体の加重平均を算出します。
例えば、あるファンドは、ファンドの資産の50%を格付けA(「シングルA」と読む)の債券に投資し、残りの50%を格付けがAAA (「トリプルA」と読む)債券に投資していたとします。このファンドの平均格付けはAAということになります。これは極端な例であり、実際には、運用会社が独自に各格付けにポイントを付け、そのポイントの加重平均を出すなど独自の計算方法があります。
平均格付が示すものとリスクの関係 #
債券ファンドの平均格付は、ファンドが保有する債券全体の信用リスクを示す指標であり、投資家がファンドのリスクレベルや安全性を理解するための重要な要素です。
- ファンドの信用リスク:ファンドの平均格付が高ければ、ファンドが保有する債券の信用力が高いことを意味し、投資家にとって安全性が高い投資対象と判断されます。逆に、平均格付が低い場合は、より高い利回りを狙いつつ、リスクも高い債券に投資している可能性があります。
- リターンとリスクのバランス:一般に、格付けが高い債券は利回りが低く、格付けが低い債券は高利回りですが、リスクも高くなります。したがって、ファンドの平均格付が高ければ低リスク・低リターン、低ければ高リスク・高リターンの傾向があります。
一般的に、先進国の債券に投資する投資信託の方が、新興国の債券に投資する投資信託よりも平均格付は高く、リスクが低い投資対象となります。また、優良企業が発行する債券に投資する投資信託の方が平均格付は高く、新興企業や財務状況の良くない企業が発行する債券に投資する投資信託よりもリスクが低くなります。
平均格付を維持する意味 #
ファンドの平均格付けを一定以上に維持するように運用するということは、ファンド全体の信用リスクが高くなりすぎないようにするという意味を持っています。
また、目標とする平均格付のレベルはファンドにより異なります。「AA」以上のレベルに維持するファンドもあれば、「AA-(AAマイナス)」としているファンドもあります。もちろん、それ以外のレベルに維持するファンドもあります。
平均格付のまとめ #
債券ファンドの平均格付は、ファンドが保有する債券全体の信用リスクを示す指標で、投資家にとってそのファンドの安全性やリスクの度合いを理解する重要な要素です。格付けが高いほど、ファンドのリスクは低く、格付けが低いほど、リターンが高い可能性があるものの、リスクも大きいことを意味します。
投資家は、ファンドの平均格付を参考にして、リスク許容度に応じた投資判断を行うことが重要です。