ベータ(β)とは #
ベータ(β)は、特定のファンドや株式が市場全体の値動きに対してどのくらい反応するかを表す数値で、リスクを数値化する指標として使われます。「市場感応度」とも呼ばれ、ファンドや個別銘柄のリスク評価にも利用されます。
ベータ値を用いると、その資産が市場全体と比べてどの程度敏感に価格が変動するかを把握できます。
ベータ値の見方 #
ベータ=1 | 市場全体と同じリスクレベルです。市場が10%上昇すると、この株式も10%上昇する傾向があります。 |
ベータが1より大きい | 市場よりも価格変動が大きく、リスクも高いです。市場が上昇する局面ではリターンが大きくなりやすい一方、下落局面では損失が大きくなる傾向があります。ファンドの場合、ベータが高いと市場全体の値動きよりも大きく変動するファンドであることを意味します。 |
ベータが1より小さい | 市場よりも変動が小さく、リスクが低い株式やファンドです。ベータが0.5の場合、市場が10%上昇しても株式は5%しか上昇しない傾向があります。このようなファンドは市場全体の値動きよりも安定した動きを示します。 |
ベータ=0またはマイナス | 市場の動きにほとんど影響されない、または市場と逆の動きをする資産です。たとえば、ベータが−1の資産は市場が10%上昇すると10%下落する傾向にあります。 市場の動きと逆方向に運用することを目指すヘッジファンドや、ベア型(インバース型)ファンドで見られます。 |
つまり、ベータ値が小さいほど、値動きが緩やかでリスクが小さく、逆にベータ値が大きいほど、値動きが激しくリスクも大きいことを示しています。たとえば、ベータ値が1.5のファンドは、市場が10%上昇すれば15%上昇し、10%下落すれば15%下落する可能性があります。
市場全体の値動きの基準として、日本株ファンドであれば「TOPIX」などの代表的な株価指数が使われます。
「ベータをとりにゆく」、「アルファをとりにゆく」 #
運用会社のファンドマネージャーなどが、「ベータをとりにゆく」、「アルファをとりにゆく」という表現を使うことがあります。「ベータをとりにゆく」とは、市場全体の動きに連動するリターンを目指す投資手法のことです。投資信託やETFなど、株式指数(たとえばS&P500やTOPIX)に連動する運用を行うことで、市場と同じリターンを得ることを目指します。インデックスファンドの運用方法です。
一方、「αをとりにゆく」とは、市場のリターン(ベータ)を上回るリターンを狙う投資手法のことです。アクティブ運用とも呼ばれ、個別銘柄の選択や独自の戦略を用いて、ベンチマークを上回る超過収益(アルファ)を目指します。アクティブファンドの運用方法です。
ベータの活用 #
投資家は、ベータ値を使ってポートフォリオ全体のリスク管理や、市場と比較したパフォーマンスの予測に役立てています。リスク許容度や投資目的に応じて、ベータが高い資産(リスク・リターンが大きい)やベータが低い資産(リスク・リターンが小さい)を選ぶことが可能です。ただし、ベータ値は過去のデータに基づく指標であり、将来のリスクを完全に示すものではない点に注意が必要です。
各ファンドのベータ値については、一部の評価機関が算出・公表しているため、関心のあるファンドのベータ値を調べてみると良いでしょう。