アセット・アローケーションとは? #
アセット・アロケーションとは、日本語に直訳すると「資産配分」と訳されます。
しかし、運用の世界では、アセット・アロケーションは、単純に、300万円をA社の株式に100万円、B社の社債には50万円、C社の社債には150万円と配分するということをいうのではありません。
運用の世界では、アセット・アロケーションとは、運用会社が独自の方法に基づいてリスクとリターンを分析し、異なるリスクやリターンの特性をもつ「資産クラス」に分類した投資先への配分比率を決定し、投資を行なうことを言います。そうすることで、投資家やファンドが設定したリスク許容度に応じたリスクを取りつつ、最適なリターンの獲得を目指します。
債券アセット・アロケーション #
債券を投資対象とするファンドが対象とする債券には、「国債」、「社債」、「モーゲージ証券」、「アセットバック証券」、「短期金融商品」などがあります。対象範囲はファンドにより異なります。
債券アセット・アロケーションは、ファンド全体のリスク管理やリターンを最適化するために、様々な期間の様々な種類の債券(国債、社債、地方債など)をどう組み合わせるかを考慮し、決定する投資戦略のことです。国債、社債、モーゲージ証券などの投資対象の中から、リスクとリターンを分析し、異なるリスクやリターンの特性をもつ債券を組み合わせて、最終的に、たとえば「国債30%・社債10%・モーゲージ証券40%・アセットバック証券10%・短期金融商品10%」などのように、投資比率を決定します。
具体的には、金利リスク、信用リスク、デュレーション(債券の残存期間)などの要因を分析し、短期債や長期債、国内債や外国債のバランスを調整することで、ポートフォリオ全体の安定性と収益性を高めることを目的とします。
債券アセットアロケーションの主なポイント #
- 債券の種類
- 国債: 信用リスクが最も低い債券であり、安全資産とされています。特に日本国債や米国国債は安定した投資先と考えられています。
- 社債: 企業が発行する債券で、国債よりもリスクが高い分、利回りも高い傾向があります。信用度の高い企業の社債(投資適格債)から、ハイリスク・ハイリターンなハイイールド債(ジャンク債)まであります。
- 地方債: 地方自治体が発行する債券です。
- 国際機関債: 外国政府や国際機関などが発行する債券です。為替リスクや各国の経済状況に影響を受けるため、リターンもリスクも高まる場合があります。
- 信用リスクの管理
- 債券発行体の信用度(格付け)によってリスクが異なります。投資適格債は安全性が高い一方で、ハイイールド債(ジャンク債)はリスクが高いですが、その分リターンも期待されます。ポートフォリオ全体のリスク許容度に応じて、信用リスクの異なる債券を組み合わせます。
- 期間の多様化(デュレーション)
- 債券の期間(満期までの期間)も重要な要素です。短期債は金利変動の影響を受けにくい一方、長期債は金利の変動に敏感でリスクも高くなりますが、利回りは高い傾向にあります。これにより、短期・中期・長期の債券を適切に組み合わせ、金利リスクを管理します。
- 金利リスクの管理
- 債券価格は金利の変動に強く影響されます。金利が上昇すると債券価格は下落し、逆に金利が下がると債券価格は上昇します。金利の動向を予測し、短期・長期の債券を適切に組み合わせることでリスクを最小限に抑えることが可能です。
債券アセット・アロケーションまとめ #
アセット・アロケーションとは、異なる資産クラスへの投資配分を決めるプロセスであり、リスク分散を目的とします。債券アセット・アロケーションは、債券の種類やリスク特性に基づき具体的な配分比率を決定する手法です。また、短期的な市場環境に応じて調整するTAAや長期的なSAAも含まれます。適切なアロケーションは、リスクとリターンのバランスを最適化し、投資の安定性を向上させます。