S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数 #
S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数は、世界的な指数算出会社であるS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスと東京証券取引が共同で開発した株価指数です。
S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数は、東証株価指数を構成する銘柄を基に、各企業の炭素排出量に応じて構成比率を調整しています。具体的には、炭素効率性が高く、炭素排出量に関する情報開示を十分に行なっている企業の比率を引き上げ、炭素排出量が多く開示が十分でない企業の比率を引き下げることで、指数全体の炭素排出量を低減することを目指しています。
つまり、東証株価指数に比べて、炭素効率性が高く・炭素排出量に関する情報開示を十分に行っている企業の株価動向をより強く反映する仕組みになっています。
カーボン・エフィシェントとは? #
カーボン・エフィシェント(carbon efficient)は、炭素効率性が高いという意味の英語です。炭素効率性(carbon efficiency)の考え方は色々ありますが、S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数を開発・算出する東京証券取引所では、売上高当たりの炭素排出量と環境情報の開示状況を基本としており、売上高当たりの炭素排出量が少ない=炭素効率性が高い、としています。
地球温暖化を含めた環境問題が注目される中、企業や経済を温暖化の原因とされる炭素排出量で評価する動きが世界的に広がりました。その評価を投資にも応用した例の一つがこのカーボン・エフィシェント指数です。
カーボン・フットプリント #
企業の炭素排出量を測るのには、カーボン・フットプリント指標が使われます。フットプリントは足跡を意味する英語(foot print)ですが、ここでは排出量という意味で使われています。
カーボン・フットプリントは、企業が生産する製品がそのライフサイクルを終えるまでに排出する温室効果ガスをCO2(二酸化炭素)に換算した数値のことです。ここでいうライフサイクルとは、原材料調達、製造、流通、販売(使用)、廃棄など、製品のすべての段階を意味しています。カーボン・フットプリントは、この製品のすべての段階で排出されるCO2を算出します。このライフサイクル全体から発生する排出量をサプライチェーン排出量と呼ぶこともあります。
サプライチェーン全体の排出量の算定基準をScope3基準と言います。これは、WRI(世界資源研究所) とWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議) が共催している組織のGHGプロトコルが決定した算出方法で、世界標準とされています。
このScope3基準で算出された排出量を日本の上場企業の多くが公表しています。例えば、トヨタ自動車の2022年度のScope3全体のCO₂排出量は43,945万トンです(出所:トヨタ自動車 統合報告書2023)。多くの上場企業が環境報告書などの中でScope3のCO2排出量を報告しており、ホームページなどでも見ることができます。
S&PGlobal Trucosts社の役割
S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数では、炭素算出量は、世界的な環境評価機関であるS&PGlobal Trucost社https://www.spglobal.com/esg/trucostが算出しています。同社では、炭素算出量は各企業の年間温室効果ガス(GHG=Greenhouse Gas)排出量評価を基に、年間の二酸化炭素排出量(トン)を年間収益で除して算出しています。なお、同社は、1500社以上の日本企業を評価対象とすると2018年4月に発表しています。
→S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数の最新情報・グラフ
S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数への連動を目指す ETF #
東京証券取引所にはS&P/JPX カーボン・エフィシェント指数をベンチマークとする次の3本のETFが上場しています。
ETF名 | 銘柄コード | 運用会社 |
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MAXISカーボン・エフィシェント日本株上場投信 | 2560 | 三菱UFJアセットマネジメント |
SMT ETF カーボン・エフィシェント日本株 | 2642 | 三井住友トラスト・アセットマネジメント |
NZAM 上場投信 S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数 | 2567 | 農林中金全共連アセットマネジメント |
S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数まとめ #
S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数は、東証株価指数を構成する銘柄を基に、各企業の炭素排出量に応じて構成比率を調整した株価指数です。炭素効率性が高く情報開示が十分な企業の比率を引き上げることで、環境への配慮を反映しています。この指数は、世界的な環境評価機関のS&PGlobal Trucost社による炭素排出量データを用いて算出されています。