信用リスクとは? #
信用リスクとは、お金を借りた企業や国が、約束通りに利息や元本を返せなくなるかもしれないリスクのことです。たとえば、企業が発行する債券(借金の証書のようなもの)に投資した場合、その企業が業績不振や経済状況の悪化で、支払いができなくなる可能性があります。この「払えなくなるかも」という可能性が信用リスクです。英語ではcredit risk(クレジットリスク)といいます。
信用とは #
一般的には、「信用」という言葉は、広い意味での「信頼感」や「評判」を指すときに使われますが、金融の世界においては、より限定的に、「今現在において、資金などを提供する代わりに、将来において、決められた通りの債務の返済することなどを行なう約束をすること」を指します。
これを「給付と反対給付の間に時間的差のある取引」というのですが、たとえば、「クレジットカード」は、今、商品を受け取り、お店に対しては、信販会社が代金を利用者の代わりに支払って、後日、口座からの引落によって利用者は信販会社に代金を支払う仕組みです。
この時、利用者と信販会社の間でみると、「商品の受取り」と「代金の支払い」に時間的な差がありますが、このような取引が「信用」なのです。
クレジットカードの発行には、「審査」がありますが、これは、「取引をした時に、その人には、将来、約束どおりの支払をする能力があるかどうか」すなわち、その人の「信用リスク」を審査しているのです。
つまり、信用(クレジット)リスクとは、債券の発行主体や取引の相手方が約束どおりの支払いをすることができなくなることへのリスクなのです。
信用リスクが高いとどうなる? #
信用リスクが高い債券やローンは、利息(リターン)が高めに設定されている傾向があります。これは、「リスクがある分、高いリターンが要求される」という考え方です。しかし、信用リスクが高い投資は「元本が戻ってこない」「利息がもらえない」といった可能性も大きくなるので、大きなリターンが期待できる代わりに、大きな損失のリスクもあるという点に注意が必要です。
発行体による信用リスクの違い #
国債 #
一般的に、信用リスクが低いのは「国債(国の借金)」です。特に日本やアメリカなど、経済が安定した国の国債は信用リスクが低いとされています。
一方で、経済が発展途上の国(新興国)の債券は信用リスクが高くなります。
社債 #
企業が発行する債券(社債)は、その企業の財務状況や経済情勢によってリスクが変わります。例えば、大手の安定した企業は信用リスクが低くなります。
一方で、業績が不安定な企業や創業間もない企業の債券は信用リスクが高い分、利息も高く設定されます。こうした高リスク・高リターンの債券を「ジャンク債」とも呼びます。
信用格付でリスクをチェック #
信用リスクは、専門の格付機関が「信用格付」で評価しています。信用格付は「AAA」や「BB」などの記号で表され、「AAA」に近いほど信用リスクが低く、「BB」以下の「ジャンク債」は信用リスクが高いと判断されます。
債券に投資するファンドの信用リスク #
投資信託の中には、高い利回りを追求するために、あえて格付けの低い(信用リスクの高い)債券を中心に投資するタイプのものもあります。このようなファンドは、格付けの高い債券に投資するものよりもリスクが大きいわけですが、より高い利回り益が期待できることになります。高い利回りの債券を英語で「high-yield bond」(ハイイールド債券)と呼ぶことから、このようなファンドをハイ・イールド・ボンド・ファンド(ハイイールド債券ファンド)と呼び、ファンドの名前に「ハイ・イールド・ボンド」という言葉が入っているケースが多く見られます。債券に投資するタイプのファンドの購入の際には、どのような種類(格付け)の債券に投資するファンドかを確認することが大切です。
信用リスクのまとめ #
信用リスクとは、企業や国が利息や元本を返済できなくなるリスクです。信用リスクが高い投資はリターンも高く設定されることが多いですが、元本が戻らないリスクも増します。格付け機関が信用格付けでリスクを評価しており、リスクの高い債券に投資するファンドには「ハイ・イールド・ボンド・ファンド」などがあります。