データセンター・リート(data center reit) #
データセンター・リートは、データセンターに的を絞って投資するリート(不動産投資信託)です。
データセンターは、企業などがデータを安全に保管するための施設のことで、インターネット用のサーバや企業の業務用のサーバ、固定・携帯・IP電話などの通信機器や様々なIT装置等が保管・運用されています。データセンターでは、これらの保管・運用に必要な場所、設備、電力、空調、セキュリティなどを提供しています。
データセンター・リート市場の動向 #
社会のデジタル化・クラウド化が世界中で急速かつ広範に進む中、データセンターの利用は年々増加しています。総務省のまとめた「令和6年版情報通信白書」によると、世界のデータセンターシステムの市場規模(支出額)は、2020 年に新型コロナウイルス感染症 による工事の延期やサプライチェーンの混乱などが影響して減少に転じたものの、その後は増加傾向で推移しており、2023 年に 34.1 兆円(前年比 14.4%増)となり、2024 年には 36.7 兆円まで拡大すると予測されています。(図表II-1-8-1)。
また、日本のデータセンターサービスの市場規模(売上高)は、2022 年に 2 兆 938 億円であり、2027 年に 4 兆1,862 億円に達すると見込まれています。
世界のデータセンター市場を見ると、データセンターの数では、次のチャートのように、米国が圧倒的に多く2024 年 3 月時点で5,381 となっています。日本は251です。
世界のデータセンターの数の内訳(2024年3月現在)
日本におけるデータセンター・リート #
日本では、2024年8月末現在、産業ファンド投資法人(銘柄コード:3249)のように、データセンターを投資対象の一つとしているリートはありますが、データセンターに特化したリートは上場していません。
しかし、NTTデータグループはデータセンターを投資先とする不動産投資信託(REIT)事業に参入すると2024年6月に発表しており、2026年3月期に最大約1000億円の資産規模で運用を始めます。
米国のデータセンター・リート #
上場している2本のデータセンター・リート #
米国では次の2本のデータセンター・リートが上場しています(2024年7月末現在)。
リート名 | 上場市場 | ティッカーコード及び最新株価へのリンク |
---|---|---|
Equinix, Inc. | Nasdaq | EQIX https://www.nasdaq.com/market-activity/stocks/eqix |
Digital Realty | NYSE | DLR https://www.nyse.com/quote/XNYS:DLR |
米国のデータセンター・リートのトータルリターン #
米国のデータセンター・リート全体のトータル・リターンの推移は次の通りです。
(データ出所:NAREIT)
また、ETF専門の運用会社であるGloba X社が運用する「グローバルX データセンターリート&デジタルインフラ ETF」(ティッカーコード:DTCR)は、世界のデータセンターリートやその他の通信ネットワークの成長を支えるデジタルインフラを運営する企業への投資を目指すETFで、米国NASDAQ市場に上場しています。
データセンター・リートのまとめ #
データセンター・リートは、データセンター施設に特化した不動産投資信託です。データセンター需要はデジタル化やクラウド化の進展で増加しており、世界市場規模は2024年に約36.7兆円、日本でも2027年に約4兆円に達すると予測されています。日本ではデータセンター専用リートは未上場ですが、NTTデータが2026年に参入予定。米国ではEquinixやDigital Realtyが上場し、関連ETFも取引されています。