ETFの分配金 #
ETFの分配金とは、ETFが保有する資産(株式や債券など)から生まれる配当や受け取り利息から費用を差し引いたものを、投資家に定期的に配分することを指します。分配金は株式の「配当」に相当するものですが、ETFでは「分配金」として扱われます。分配頻度はETFにより異なります。
ETFの分配金利回りとは #
ETFの分配金利回りとは、ETF1口当たりの分配金が1口当たりの価格の何%になるかを示したものです。株式投資における配当利回りに相当します。
分配金利回り(%)=(1口当たり配当金➗ETFの価格)×100
これにより、投資家はそのETFからどれだけの利回りが得られるかを把握できます。利回りは%で表示され、安定した収益を得るための重要な指標です。
ETFの分配の原資 #
ETFの分配金の原資は、ETFが保有している株式や債券などの有価証券からの配当や受取利息などです。ETFでは、法律によって、計算期間中に発生した配当や受取利息などの収益から支払利子、信託報酬、株価指数に係る商標使用料、監査費用などの費用を控除した全額を分配するものと定められています。
一般の投資信託とは違い、ETFでは売買益や評価益は分配の対象になりません。ただし、収益分配金額の調整のために、収益から経費を控除した金額の一部または全部を信託財産内に留保して、分配準備積立金として積立て、次期以降の分配に充てることはあります。
分配金の計算過程 #
実在する株式ETFの分配金の計算過程を見ると、次のようになっています。
当期配当等収益額(A)←これが分配金の主な原資 | 18,308,031,281円 |
分配準備積立金(B) | 11,676,521円 |
配当等収益額合計(C)=(A+B) | 18,319,707,802円 |
経費(D) | 1,286,459,102円 |
収益分配可能額(E)=(C-D) | 17,033,248,700円 |
収益分配金額 | 17,015,469,173円 |
次期繰越金(分配準備積立金)(G)=(E-F) | 17,779,527円 |
口数(H) | 777,317,002口 |
分配金額(100口当たり) | 2,189円 |
配当などの収益(A)に前期から繰り越した分配金準備積立金(B)を足した分配原資(C)が18,319,707,802円でした。そこから経費(D)1,286,459,102円を差し引いた額(E)17,033,248,700円のうち99.9%の17,015,469,173円が分配されていることがわかります。
分配金がないETF #
ただし、全てのETFが分配金を支払うわけではありません。株式や債券、あるいは不動産投資信託(REIT)に投資するETFでは、分配金が支払われますが、プラチナやとうもろこしなど現物の商品に投資するETFのように、有価証券に投資しないETFでは分配の原資となる配当や利子がないため、分配は行われません。
また、レバレッジ型のETFでは、受取利息等の分配原資はあるものの、経費を上回る水準にないため、通常、分配は行われません。たとえば、実際に存在し、分配方針においては年1回分配を行うことになっているレバレッジ型ETFの分配金の計算過程を見ると、次のように配当等収益額合計が経費を下回っており、分配額が0円となることがわかります。
当期配当等収益額(A) | 90,195,565円 |
分配準備積立金(B) | △1,582,441,894円 |
配当等収益額合計(C)=(A+B) | △1,492,246,319円 |
経費(D) | 1,935,072,972円 |
収益分配可能額(E)=(C-D) | 0円 |
収益分配金額 | 0円 |
次期繰越金(分配準備積立金)(G)=(E-F) | △3,427,319,291円 |
口数(H) | 19,060,000口 |
分配金額(100口当たり) | 0円 |
定期的な分配金の獲得を目的としてETFに投資する場合には、各ETFの分配方針や分配履歴を確認することが大切です。
ETFの分配金利回りのまとめ #
ETFの分配金利回りは、ETFが1年間に支払う分配金額を基準価額で割って算出される割合です。この利回りは、投資家がそのETFから得られるインカムゲインの目安となり、特に安定したインカムゲインを求める投資家にとって重要な指標です。利回りはパーセンテージで示され、高い分配金利回りのETFは、定期的な収入を期待する投資家にとって魅力的な選択肢となります。