総合型ポートフォリオとは #
不動産投資信託(リート)は、オフィスビル、ホテル、住居用ビル、商業施設、物流施設など、様々なタイプの不動産を投資対象としますが、これらの投資対象の中で、特定のタイプの不動産に特化することなく、オフィスビル、住居用ビル、商業施設など3つ以上のタイプの不動産に分散して投資するタイプのポートフォリオを総合型ポートフォリオと呼びます。総合型リートと呼ばれることもあります。
このタイプのファンドは、特定のセクターに偏らず、さまざまな不動産資産を組み入れることで、リスクの分散と安定的なリターンの確保を目指します。
具体的には、総合型ポートフォリオは以下の特徴を持っています:
1. セクター分散:オフィスや商業施設、住宅、物流施設、ホテルなど、異なる種類の不動産資産を組み合わせることで、経済や市場の変動に対する影響を緩和します。
2. 地域分散:一つの地域に集中せず、都市圏や地方の物件にも幅広く投資することが一般的で、地域ごとの経済状況の違いに対する影響も分散できます。
3. 安定的な収益:セクターや地域を分散させることで、特定の市場の不振がファンド全体の収益に与える影響を最小限に抑え、安定した収益が期待されます。
総合型ポートフォリオの例
例えば、ユナイテッド・アーバン投資法人(8960)のように投資対象の用途及び投資地域について限定的なアプローチを行なわず、投資対象を商業施設、オフィスビル、ホテル、住居、その他に分散させたポートフォリオを構築するファンドや森トラストリート投資法人(8961)のようにホテルとオフィスを主な投資対象としながらも、商業施設、住宅等への分散投資も投資対象とするファンドがその例です。
特化型ポートフォリオ #
一方で、住居用ビルのみに特化して投資するファンドや流通施設に的を絞って投資するタイプのファンドのように、特定のタイプの不動産に特化して投資するファンドを特化型ポートフォリオと呼びます。
例えば、物流施設に特化して運用する日本ロジスティクスファンド投資法人(8967)やオフィスに特化した日本ビルファンド投資法人(8951)などが特化型ポートフォリオの代表的な例です。
複合型ポートフォリオ #
オフィスビルと住居用不動産、商業施設とホテルのように二つのタイプの不動産に分散投資するタイプの不動産投資信託は複合型リートと呼びます。たとえば、オフィスと都市型商業施設の両者を主な投資対象とする日本プライムリアルティ投資法人(8955)やオフィスとレジデンス(住居)を投資対象とするNTT都市開発リート投資法人(8956)がその例です。
どちらを選択するか #
リスクの点からは、一般的にリスクが高い順に 特化型 > 複合型 > 総合型 とされます。特定のセクターの景気変動に影響を受けやすい特化型が最もリスクが高く、逆にリスク分散が図られた総合型が最もリスクが低いと言えます。たとえば、コロナ禍においては、ホテル特化型のリートの価格が全般的に下落しました。
しかし、実際の投資においては、各ファンドの投資対象とその特性や地域的分散の状況、そして分配金支払履歴や投資口価格の推移などを確認することが大切です。
各不動産投資信託が総合型ポートフォリオを採用しているか、特化型ポートフォリオを採用しているかについては、目論見書の運用方針や各投資法人のホームページのポートフォリオのセクションに記載されています。
総合型ポートフォリオのまとめ #
不動産投資信託の総合型ポートフォリオは、単一のセクターに特化したファンドと異なり、幅広い不動産に投資することで、市場変動の影響を分散し、長期的な成長と安定を重視する投資家に向いているファンドと言えます。