指数連動型のETF(上場投資信託)は、多くの点で従来のインデックスファンド(非上場の指数に連動する追加型株式投資信託)と類似していますが、いくつかの相違点も存在します。ここでは、従来のインデックスファンドとの比較におけるETFのメリットに焦点を当ててみましょう。
【ETF、インデックスファンド、株式の比較】
ETF | インデックスファンド | 株式 | |
---|---|---|---|
分散投資 | ○ | ○ | × |
リアルタイム取引 | ○ | × | ○ |
信用取引 | ○ | × | ○ |
株価指数やセクター指数に連動 | ○ | ○ | × |
コスト | ○ | △ | ○ |
どこでも買える | ○ | × | ○ |
コストの違い #
ETFの大きな利点のひとつは、従来のインデックスファンドに比べてコストが低いことです。例えば、ETFの信託報酬は一般的に0.3~0.5%程度で設定されています。これは、従来のインデックスファンドの信託報酬が0.5~1.0%であることが多いため、コスト面で非常に有利です。信託報酬は保有期間中ずっと発生するコストであるため、長期保有を前提とした場合、この差は重要な要素となります。
【公募追加型株式投資信託の信託報酬の推移】
実際、投資信託協会の「投資信託の主要統計(2024年7月)」によれば、公募の追加型株式投資信託の信託報酬率は1.11%であるのに対し、ETFの信託報酬率は0.29%と低く設定されています。
また、ETFの購入にかかる販売手数料については、従来のインデックスファンドにも「ノーロード」(販売手数料無料)のものが増えています。そのため、どちらが安いとは一概に言えませんが、ETFの販売手数料も比較的割安になる傾向があります。
売買の柔軟性の違い #
ETFは上場されているため、通常の株式と同様にリアルタイムで売買が可能です。従来のインデックスファンドを含む投資信託では、1日1回公表される基準価額に基づいて取引が行われますが、ETFは市場が開いている間であれば自由に売買ができ、指値注文や成行注文、リアルタイムでの価格変動を利用した取引が可能です。
ただし、証券取引所に上場していても、株式がそうであるように、ETFにも流動性が低い銘柄は存在しており、一カ月のうち数日も取引が成立しない(値がつかない)銘柄も残念ながらあるのです。このような銘柄では当然ながら機動的な売買は望めません。各ETFの売買高や売買代金についての情報は、東京証券取引所が公表しているETFの銘柄別相場表で確認できます。
購入場所の違い #
従来のインデックスファンドは、証券会社だけでなく、銀行や保険会社など多様な金融機関が取り扱っています。ただし、販売会社により取り扱っているファンドが異なります。買いたいファンドがあっても、口座を持っている販売会社で取り扱っていないということもあります。一方、ETFであれば、取り扱いは証券会社に限られますが、どの証券会社でも全てのETFを取り扱っています。
ETFの積立購入ができる証券会社は限定的ですが、インデックスファンドはほとんどの販売会社で積立投資を行うことが可能です。
信用取引 #
株式と同様に売買することが可能なETFでは、信用取引をすることも可能です。ETFを利用しての信用取引は、従来の株価指数先物(TOPIX、日経平均株価)に比べて少額でも利用可能になっています。これによって、個別株式への投資とETFを用いた信用取引を組み合わせることによって、多様なリスクヘッジの方法を取ることもより容易にできるようになるでしょう。インデックスファンドでは信用取引はできません。