債券ファンドのリスク #
一般に、債券に投資するファンドは、株式に投資するファンドよりもリスクは低い傾向にあります。しかし、同じ債券ファンドといっても、実際に投資する債券の種類はファンドにより異なります。短期国債のように安全性の高い債券から、新興企業や信用度の低い企業の発行するハイ・イールド債券と呼ばれるリスクの高いものまで、債券には実に様々な種類があります。したがって、債券ファンドのリスクは、各ファンドが組み入れている債券により大きく異なります。
債券ファンドのリスクを決める要因 #
債券ファンドのリスク特性を決めるのは、主に組み入れる債券の「信用度」と「平均残存期間」です。
債券の信用度とは #
信用度というのは、債券の発行した企業や団体などによる債務履行の可能性のことで、これを信用リスクと言います。債券を発行した企業等がその発行条件通りに、利払いと元本の返済を予定の期日に実行する能力があるかどうかを示すものです。この信用度は「格付け」として、専門の格付機関(S&P Global社、ムーディーズ社など)から発表されています。信用度が高いほど格付けは高く、信用度が低いほど格付けが低くなります。信用度が低いということは、リスクが高いということです。
平均残存期間とは #
平均残存期間というのは、ファンドが保有している債券の満期(償還)までの長さの平均のことです。4.5年や3.5年などように、年数で表示されます。
平均残存期間は、金利の変化がファンドにどう影響するかを知るための目途となります。債券の価格は金利と反対方向に変化します。金利が上昇すれば、債券の価格は下落し、金利が低下すれば、債券の価格は上昇しますが、一般に、平均残存期間が長いファンドの方が、金利の変化の影響を強く受けます。
つまり、平均残存期間が長いファンドの方が、金利リスクが高いということです。例えば、金利が5%から4%に低下したとすると、1年物の債券の価格は約1%上昇しますが、20年物の債券の価格は約18%上昇します(デュレーション、クーポン率、その他の条件に異なります)。このリスク(金利リスク)を相殺するために、長期の債券の利回りは短期の債券よりも高くなっています。
目論見書における信用度と平均残存期間の記載例 #
個別のファンドの信用度と平均残存期間についての情報は、目論見書の運用方針などに記載されています。例えば次のような記載があります。
- 当ファンドは、円建てのBBB格以上の事業債を主要投資対象とし、安定的で高い金利収入の確保を目指します。
- 当ファンドは残存期間の短い事業債に投資することにより、金利変動による価格変動リスクを抑えることを目指します。
- 当ファンドでは投資対象となる債券の残存期間は3年程度を目処とし、ポートフォリオの債券の平均残存期間は2年程度とします。
債券ファンドのリスクを決める要因のまとめ #
債券ファンドのリスクは、主に組み入れられている債券の「信用度」と「平均残存期間」によって決まります。信用度が高いほどリスクは低く、信用度が低いとリスクは高くなります。一方、平均残存期間が長いほど金利変動の影響を受けやすく、金利リスクが高くなります。投資の際には、ファンドがどのような債券に投資しているか、目論見書を確認してリスクを理解することが重要です。