一億人の投信大賞 #
一億人の投信大賞は、「普通の人が普通に長期投資で資産形成をするための投資信託」という視点で選定された投資信託に与えられる賞のことです。「投資信託事情」編集長の島田知保さん、LIFE MAP,LLC代表/ファイナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子さん、パワーソリューションズ取締役・高橋忠郎さんが選考委員を務めています。2014年に第1回目の2013年の大賞が発表され、以降、2020年まで毎年1回発表されていました。第1回目と第2回目の対象は日経マネー誌上で発表され、2016年以降は対象はホームページhttp://1okutoshin.net/で発表されました。
選定の対象となる投資信託は、ETF(上場投資信託)を除いた公募の追加型株式投資信託で、選考の前年の10月末時点で運用されているファンドとなります。2016年の一億人の大賞の場合は、前年の10月時点で運用されていた約4,800本のファンドが選定の対象となりました。これらのファンドを「日本株式」「日本債券」「先進国株式」「先進国債券」「新興国株式」「新興国債券」「国内REIT」「海外REIT」「資産分散(積極型)」「資産分散(安定型)」「資産分散(標準型)」に分類し、各々においてスコアの高い順に1位から3位までを発表しています。
選考基準 #
選考の前年の10月末時点で運用されている公募の追加型株式投資信託の中から、次の条件を用いて、対象ファンドの絞り込みを行います。
- 通常の取引口座で、誰でも購入できるか
SMA・ラップ専用ファンドや確定拠出年金(DC)の専用ファンドは、通常の証券取引口座とは別に専用の取引口座が必要となるため、対象から除外します。
- 分配頻度は年2回以内か
毎月分配型のファンドの人気が高い状態が続いていますが、一億人の投信大賞の趣旨である長期投資で資産形成を考えた場合、分配頻度や分配金額が抑えられたファンドの方が効率的な運用が可能となるため、分配頻度が年12回(2016年の投信大賞では、対象ファンド数:1568本)、6回(同:61本)、4回(同:265本)のファンドを除外します。
- 十分な純資産があるか
純資産が少なすぎると運用方針に則った運用を実現できない可能性があります。また、1ファンド当りのコスト負担が大きくなるというデメリットも生じます。更には、純資産総額が小さすぎると運用期間の途中で繰上償還されてしまうリスクがあります。このため、一億人の投信大賞では基準月末純資産30億円未満を除外します。
- 一定の運用実績があるか
新しいファンドでは、ファンドの継続性を判断することが難しく、ファンドのパフォーマンスを検証することも難しいことから、運用期間が3年未満のファンドは除外します。また、一億人の投信大賞では、「36か月中24か月以上資金純流入」という条件もあるため、いずれにしても3年未満のファンドは除外されます。
- 安定した資金流入があるか
解約が多いファンドでは、解約に対処するために組入資産を売却したり、現金比率を確保したりする必要が生じてしまい、効率的な運用が阻害されてしまいます。そのため、投信大賞では、過去36か月のうち資金純減月数13か月以上のものを除外します。
- 短期投資向けファンドではないか
株式、債券、REIT以外の資産に投資するファンドや先物やオプションを利用したブルベア型のファンドなど、短期的に利益を追求するタイプのファンドは除外します。
- 投資テーマ、対象通貨(日本円以外)などが限定される「特化型」を除外
一億人の投信大賞では、広く分散投資されたファンドを重視しており、インフラ、ヘルスケア、食料などのように投資テーマを絞ったファンドや特定のセクターに的を絞ったファンドを除外します。同じ理由で、米国、ロシア、中国など、特定の通貨(国)に的を絞って投資するタイプのファンドを除外します。
上記の条件で絞り込んだファンドの中から、いよいよ優秀ファンドの選定が行われることになりますが、その選定基準は次の通りです。
- アクティブ投信は対ベンチマーク超過リターンが高いもの(各月のベンチマークと比較した勝率)
アクティブ投信とは、ベンチマークをできるだけ上回ることを目標に運用されるファンドのことです。運用会社やファンドマネージャーが、独自の知識、経験、調査分析能力等をフルに活用して投資判断を行い、ベンチマークよりもよい運用成果を目指します。超過リターンとはファンドの運用成績がベンチマークをどれだけ上回ったかを示すものです。
- パッシブ投信はトラッキング・エラーが小さいもの
パッシブ投信とは、特定の指数への連動を目指すファンド(インデックスファンド)のことです。トラッキング・エラーとはファンドとベンチマークとする指数のリターンの乖離のことで、インデックスファンドでは、この乖離が小さいほど、運用が上手く行っていることになります。
- シャープレシオが高いもの
シャープレシオは、ファンドが取ったリスクに見合ったリターンが得られているかを示す指標です。シャープレシオが高いほど、リスクのわりにリターンが大きい=優秀なファンドと評価されます。
- 資金流出入の標準偏差が小さいもの
投資家がファンドを購入したり、解約することで、ファンドには日々資金の流出入が発生します。この流入と流出のブレが大きいと、安定した運用に影響を与える可能性があります。
上記の条件に基づき、各ファンドにスコア付けを行います。同点の場合は、アクティブ・ファンドでは3年のリターンが高い順、パッシブ・ファンドではトラッキング・エラーが小さい順、アクティブとパッシブはリターンで順序を決めます。
詳細は、一億人の投信大賞HP(http://1okutoshin.net/)でご確認下さい。
一億人の投信大賞まとめ #
一億人の投信大賞は、「普通の人が普通に長期投資で資産形成をするための投資信託」という視点で選定された投資信託に与えられる賞のことです。選定の対象となる投資信託は、ETF(上場投資信託)を除いた公募の追加型株式投資信託で、選考の前年の10月末時点で運用されているファンドとなります。