年金積立管理委運用独立行政法人 #
年金積立金管理運用独立行政法人は、わたしたちの国民年金および厚生年金の管理・運用を行う機関です。年金積立金管理運用独立行政法人法を根拠法としています。同法人の英語の名称はGovernment Pension Investment Fundで、略称はGPIFです。
GPIFの目的 #
GPIFは、厚生年金保険法及び国民年金法の規定に基づき厚生労働大臣から寄託された積立金の管理及び運用を行うとともに、その収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定に資することを目的としています。
私たちが納付した国民年金および厚生年金の保険料は、一旦厚生労働省に渡り、そこから年金積立金としてGPIFに渡ります。GPIFはこれを法律で定められた投資方針に則って運用し、その運用益は国庫に納付され、国民年金および厚生年金として私たちに給付されます。
GPIFの運用目標 #
年金積立金(GPIFの運用資産に加え、年金特別会計で管理する積立金を含みます。)の運用は、主務大臣である厚生労働大臣が定めた「中期目標」において、「長期的に積立金の実質的な運用利回り(積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)1.7%を最低限のリスクで確保すること」が要請されています。
年金積立金の長期的な運用目標=賃金上昇率+1.7% (2024年10月現在)
GPIF運用資産規模 #
GPIFでは、2024年6月末現在、254兆7,027億円の資産を運用しており、世界最大の機関投資家と言われており、金融市場で非常に注目される存在です。ちなみに、米国最大の公的年金基金であるカリフォルニア州退職年金基金(カルパース)の運用資産残高は約5,276億ドル(2024年10月10日現在)で、日本円にすると約76兆5,000億円(1ドル=145円で計算)ですからその大きさがわかります。運用資金の大きさから、金融市場においてその動向が常に注目されています。
GPIFの基本ポートフォリオ #
GPIFでは、中期目標期間(5年間)の基本ポートフォリオとそこからの許容乖離率も公表しています。2024年10月現在の基本ポートフォリオは次の通りです。
この基本ポートフォリオを基本として、市場・経済状況に応じて、投資配分等を許容乖離率の範囲内で変更しています。
実際の運用については、GPIFから運用委託された信託銀行や投資顧問会社が行いますが、運用資産の一部については、GPIFが自家運用しています。GPIFは「長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行う」ことが法律で定められています。
GPIFの運用成績などについては、同独立法人のHPにおいて公開されており、運用状況の発表についてはyoutubeのGPIF channel で公開されています。
GPIFのESG投資の取り組み #
GPIFは近年、ESG投資(環境・社会・ガバナンス)に積極的に取り組んでいます。具体的には、持続可能な経済成長を目指し、投資先企業に対して環境問題や社会問題、ガバナンスの改善を求める「責任投資」を推進しています。この取り組みは、長期的な視点から年金資金の持続可能な運用を目指す一環として、世界的にも注目されています。ESGの考慮は全資産について行われており、その詳細などは、年度ごとにESG活動報告で公表されています。
GPIFのまとめ #
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国民年金と厚生年金の積立金を管理・運用する日本の機関で、収益を国庫に納付し年金の安定を図ることを目的としています。世界最大級の資産運用規模を持ち、長期的に安全かつ効率的な運用を目指しており、ESG投資にも積極的に取り組んでいます。運用状況や成績は公開され、金融市場で注目される存在です。