グリーンボンド #
グリーンボンドとは、国際資本市場協会が発行するグリーンボンド原則に則って発行される債券のことです。国際資本市場協会(International Capital Market Association=ICMA)は世界68カ国の国の資本市場に関係する金融機関など約620社を会員とする(2024年9月末現在)国際的な業界団体です。
ICMAでは、グリーンボンドを、「調達資金又はその相当額の全てが、新規又は既存の適格なグリーンプロジェクトの一部又は全部の初期投資又はリファイナンスのみに充当され、かつ、グリーンボンド原則 の4つの核となる要素に適合している様々な種類の債券」と定義しています。
グリーンボンド原則の4つの核 #
- 調達資金の使途
- プロジェクトの評価と選定のプロセス
- 調達資金の管理
- レポーティング
上記の4項目を核としたグリーンボンド原則(抜粋)は次の通りです。
- 調達資金の使途について・・・調達資金がグリーンプロジェクトのために使われること。
- プロジェクトの評価と選定のプロセスについて・・・グリーンボンドの発行体は、環境面での持続可能性に係る目標、対象となるプロジェクトが前途の適格なグリーンプロジェクトの事業区分に含まれると判断するプロセス、適格性についてのクライテリアを投資家に対して明確に伝えること。
- 調達資金の管理・・・グリーンボンドによって調達される資金に係る手取金の全部、あるいは手取金と同等の金額は、サブアカウントで管理され、サブ・ポートフォリオに組み入れ、又はその他の適切な方法により追跡されること。
- レポーティング・・・発行体は、全ての調達資金が充当されるまで、またその後においても状況の変化があった場合は必要に応じて、毎年更新される調達資金の使途に係る入手可能な最新の情報を作成し、保存すること。
グリーンボンド原則の全文→https://www.icmagroup.org/(原則は、毎年見直しが行われるので最新のものはICMAのHPでご確認ください。
グリーンボンドの種類 #
グリーンボンドには次のような種類があります(2024年10月現在)。
1. Standard Green Use of Proceeds Bond(標準的グリーンボンド) #
グリーンボンド原則に適合し、発行体への 完全な遡求性を有する無担保債券。
2. Green Revenue Bond(グリーンレベニュー債) #
発行体への遡求性を有しないグリーンボンド原則に適合する債券で、債券の信用の源泉は、対象となるグリーンプロジェクトからの事業収入や使用料、税 金などの将来に見込まれるキャッシュフローであり、債券により調達された資金の使途は、信用の源泉との関係の有無を問わないグリーンプロジェクトとなる。
3. Green Project Bond(グリーンプロジェクト債) #
一つ又は複数のグリーンプロジェクトに係るグリーンボンド原則に適合するプロジェクトボンドで、発行体への潜在的な遡求性の有無に関わらず、投 資家は当該プロジェクトのリスクに直接晒される。
4. Secured Green Bond(担保付グリーンボンド) #
調達資金が次のいずれかのグリーンプロジェクトに係る資金調達又はリファイナンスのためにのみ充当される担保付債券。
(1)特定の債券のみの裏付けとなるグリーンプロジェクト(「担保付グリーン・コラテラル債」)
(2)発行体、オリジネーター又はスポンサーのグリーンプロジェクト。グリーンプロジェクトが特定の債券の全部又は一部の裏付けとなる場合とならない場合がある(「担保付グリーン・スタンダード債」)。担保付グリーン・スタンダード債は、より大規模な取引の特定のクラスやトランシェとなり得る。
日本におけるグリーンボンドの状況 #
環境庁が、グリーンボンドの市場の国際的な発展と歩調を合わせ、国内においてもグリーンボンドの認知度を高め、国内におけるグリーンボンドの発行と投資 をさらに拡大することを目指して2017年3月に「グリーンボンド・ガイドライン2017」を策定しました。その後、環境庁は改訂を重ね、2024年10月現在「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンド・ガイドライン」として公表しています。
2018年4月16日に、日本リテールファンド投資法人が、Jリート初のグリーンボンドの発行を発表しました。また、多くの金融機関を含めた民間企業がグリーンボンドを発行しています。
グリーンボンドの発行状況については、日本取引所グループのESG債プラットフォームで調べられます。
グリーンボンドのまとめ #
グリーンボンドは、環境関連プロジェクトに資金を充てることを目的に、ICMAのグリーンボンド原則に従って発行される債券です。調達資金の使途、プロジェクトの評価、資金管理、レポーティングの4つの基準が定められ、種類には標準的なグリーンボンドやグリーンレベニュー債などが含まれます。日本でも環境庁のガイドラインに基づき、国内企業や金融機関による発行が進んでおり、日本取引所グループのESGプラットフォームで発行状況を確認できます。