高金利債券ファンドは、金利が高い債券に的を絞って投資を行う投資信託のことです。具体的にどの地域のどのような種類の債券に投資するかはファンドにより異なりますが、一般的に高金利債券といった場合、次のような債券を指します。
- 金利が高い国の債券
- 一国の中でも、相対的に金利が高い債券
金利が高い国の債券 #
金利が高い国というのは、他の国と比べてインフレが進んでいて、金利が高い水準にある国のことです。2024年現在では、日本を含め先進国の金利は低い水準にありますが、主に途上国等では高い金利の国が見られます。
(長期金利、2024年2月現在、出所:OECD)
金利が高い国の債券への投資では、高い金利収益を獲得できることが魅力です。しかし、一方で、これらの国の多くは、経済が不安定であったり、インフレが問題になっていたり、あるいは政治的にも不安定であるなど、様々な問題を抱えていることが多くあります。そのため、債券が債務不履行になるリスクも高いということを認識しておくことが大切です。したがって、このような債券に投資するタイプの投資信託についても、相対的にリスクの高い商品であると言えます。
同じ国の中でも相対的に金利の高い債券 #
債券の金利は、同じ国の中でも、発行する機関によって異なります。債券には国が発行する債券(国債)、優良企業が発行する社債、新興企業や財務内容のあまりよくない企業の発行する債券などがあります。また、世界銀行やアジア開発銀行などの国際機関が特定の国の通貨建てで発行する債券などもあります。
同じ国の中でも、高い金利の債券に投資するファンドは、国債や優良企業の社債に投資するファンドに比べるとリスクは高くなる傾向にあります。中でも、ジャンク債と呼ばれる信用力の低い企業の発行する債券に投資するファンドにおいては、投資対象が先進国の企業であっても、リスクは高い投資対象です。
債券の信用リスク #
債券を発行した企業や政府などの発行体が、元利金の支払いを履行できなくなるリスクのことを債券の信用リスク(クレジットリスク)といいます。簡単に言えば、債券の発行体が経済的に困難な状況に陥り、約束された利息や元本を投資家に返済できないリスクです。信用リスクが高いほど、その債券に投資するリスクも高くなります。
この信用リスクをカタチにしたものが格付けです。格付けは信用格付け会社(例えば、ムーディーズ、S&P、フィッチなど)が、発行体の信用力を評価し、格付けを付与します。信用格付けが低いほど、発行体の信用リスクが高いと見なされます。
高金利債券ファンドに投資する前には、どのような発行体の債券が含まれているのか、信用リスクはどうなのかを目論見書などで確認することが大切です。各投資信託は、ファンドが投資対象としている格付けやファンド全体での平均格付けを一定に維持するといったリスク対策を講じていることもあり、それらは目論見書に記載されています。高い金利を提供しているということはそれだけ高いリスクがあるということを忘れないで下さい。