投資信託の投資対象の一つに物価連動国債があります。
物価連動国債とは #
物価連動国債は、国が発行する債券(国債)の一つで、元金額や利払い額が物価の動きに連動して増減する債券です。
物価連動国債は、物価が上昇すれば、その上昇率に応じて債券の元金額が増加します。また、表面利率は発行時に固定し、全利払いを通じて同一なので、物価上昇により想定元金額が増加すれば、元金に表面利率を乗じて算出される利払い額も増加します。
反対に、物価が下落すれば、その下落率に応じて元金額も利払い額も減少します。日本の物価連動国債では、物価の判断には全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数)が使われます。
なお、平成25年度以降に発行されている日本の物価連動国債は、償還時の物価水準が発行時の物価水準よりも低下した場合でも、額面金額で償還されます。
利払いは年2回で、利子の額は各利払い時の想定元金額に表面利率を乗じて算出されます。表面利率は発行時に固定されており、全利払いを通じて同一です。
どこで買えるのか? #
物価連動債については、2015年1月より相対取引による個人向け販売が解禁され、大手証券会社等が取り扱っています。最低額面金額は10万円で、10万円以上10万円単位で購入できます。
物価連動国債の発行額 #
日本の物価連動国債の発行額は、平成27年度から令和元年度まで減少したものの、令和2年に30兆円を超え、以降30兆円を超えた水準が続いています。令和6年度は約31.2兆円が予定されています。
(データ出所:財務省令和6年度国債発行計画の概要)
物価連動国債のデメリット #
インフレリスクをヘッジできる投資商品として注目される物価連動国債ですが、一方で、物価が下落した場合には、その下落率に応じて元金額や利払い額が減少するというデメリットもあります。
海外の物価連動国債 #
物価連動国債は、日本だけでなく、海外でも、inflation linked bond(インフレリンク債)などという名称で発行されています。カナダではReal Return Bond (RRB)、英国ではInflation-linked Gilt(ILG)、米国ではinflation-protected security(TIPS)と呼ばれています。いずれも、インフレに連動して元本・利払いが増減し、ほとんど場合、インフレを測る指標として消費者物価指数が採用されています。
物価連動国債ファンド #
物価連動国債は、常に購入できなかったり、購入単位が大きかったりと使い勝手のよい投資対象とは言えない部分もありますが、物価連動国債を主な投資対象とする投資信託(一般に物価連動国債ファンドと呼びます)への投資を通じて、物価連動国債に投資することが可能です。
物価連動国債ファンドのメリット #
物価連動国債ファンドであれば、1口1万円程度から購入できますし、多くの金融機関が取り扱っており、いつでも購入・売却が可能です。また、積立投資ができるというメリットもあります。
- 購入単位が小さい・・・物価連動国債ファンドは、通常、1口単位で1万円程度から購入できます。
- いつでも購入・売却ができる・・・物価連動国債ファンドは、金融機関の営業日であれば、いつでも購入・売却が可能です。多くの証券会社等が取り扱っています。
- 積立投資が可能・・・証券会社によっては、物価連動国債ファンドの積立ができるところもあります。
物価連動国債ファンドの例: #
かつては、海外の物価連動国債に投資するファンドも複数運用されていましたが、2024年9月現在、運用されているのは日本の物価連動国債に的を絞って投資するタイプだけです。
物価連動国債ファンドの例:
- eMAXIS 国内物価連動国債インデックス
- MHAM物価連動国債ファンド
- DCダイワ物価連動国債ファンド
- 東京海上セレクション・物価連動国債
- 日本物価連動国債ファンド