投資制限とは #
投資制限とは、ファンドが投資できる有価証券の種類や組入比率の上限など、運用会社がファンドの運用にあたって守らなければならない制限のことです。これらの制限は目論見書に記載されています。
3種類の投資制限 #
投資制限には、次の3つの種類があります:
1. 個別ファンドが約款上で定めている制限
2. 「投資信託及び投資法人に関する法律」や「金融商品取引法」などの関係法令に基づく制限
3. 一般社団法人投資信託協会規則による制限
このうち、関係法令に基づく制限と一般社団法人投資信託協会規則による制限は、すべての投資信託に共通の制限事項であり、すべてのファンドがこれを遵守する義務があります。
私たちがファンドを購入する際に、特に注意すべきなのは、個別ファンドが目論見書で定めている制限です。これは法令や協会ルールの範囲内で各ファンドが独自に定めたものであり、ファンドごとに異なります。
ファンドが約款に記載している制限 #
ファンドは、その運用方針に基づいて、約款で投資制限を設けています。以下に記載例を示します。
– 債券等への実質投資割合:制限を設けません。
– 株式への実質投資割合:信託財産の純資産総額の30%以下とします。
– 外貨建資産への実質投資割合:制限を設けません。
– 一発行体等に対する株式、債券、およびデリバティブ等の投資制限:信託財産の純資産総額に対し、それぞれ10%、合計で20%以内とします。
ファンドが約款で定める投資制限の主な項目
- – 投資対象とする有価証券の種類や範囲
- 株式・債券・先物などの組入上限
- 同一銘柄への投資上限
- 信用取引やスワップ取引の範囲
- 先物・オプションなどデリバティブの使用に関する制限
- 外貨建て資産への投資の有無およびその範囲
- 借入金の利用に関する制限
投資信託協会による投資制限 #
投資信託協会では、以下の項目に関して投資制限を設けています。これらの制限はすべてのファンドに共通し、守らなければなりません。
- デリバティブ取引等に関する投資制限
- 信用リスク集中回避のための投資制限
- 公募のファンド・オブ・ファンズの投資制限
投信法による投資制限(「投資信託及び投資法人に関する法律」施行規則) #
法律による制限も存在します。たとえば、デリバティブ取引等に関する上限を定めており、すべてのファンドが守らなければならない規定です。
デリバティブ取引等に関する制限
「金利、通貨の価格、金融商品市場における相場その他の指標に係る変動などにより生じるリスクに対応するため、信託会社が定めた合理的な方法で算出した額が信託財産の純資産額を超える場合、デリバティブ取引または商品投資等取引の実行または継続を禁止します。」
投資制限の目的 #
投資信託における投資制限は、投資家保護やファンド全体の安定性、リスク管理を目的として設けられています。
投資家保護 #
投資制限により、ファンドのリスクを一定水準に抑え、過度にリスクの高い運用を防ぎ、投資家の資産を守ります。たとえば、1銘柄に対する投資上限が設定されており、特定企業への過度な資金集中を防ぎます。
分散投資の促進 #
特定の資産や市場への集中を避けることで、分散投資を実現し、リスクを低減します。これにより、特定の市場や資産クラスの変動に大きな影響を受けにくくなります。
流動性の確保 #
投資信託は解約が可能な商品であるため、資産の流動性を確保する必要があります。流動性の低い資産(不動産や未公開株など)への投資が制限されることにより、投資家が解約を希望した際に現金や流動性の高い資産を容易に準備できるようになります。
法規制の遵守 #
投資信託は各国の法律や規制に従う必要があります。たとえば、特定の国や産業への投資割合が制限される場合や、特定の金融商品の投資が禁止されていることがあります。これにより、投資信託が健全な範囲で運用され、市場の安定が図られます。
ファンドの目的に合った運用の維持 #
各ファンドには異なる運用方針があり、それに応じた投資制限が必要です。たとえば、債券型ファンドでは株式への投資が制限され、株式型ファンドでは債券の比率が制限されることがあります。
リスク管理と運用の透明性確保** #
投資制限は、ファンドマネージャーが過度なリスクを取ることを防ぎ、透明性の高い運用を確保します。
投資制限のまとめ #
投資制限は、ファンドが過度にリスクの高い運用を行うことを防ぎ、投資家の資産を保護するために設けられています。たとえば、特定の資産や市場に資金が集中しないように、分散投資を促進する制限が存在します。これを理解することで、ファンドがどの程度リスクを取っているのかを把握でき、投資家は自身のリスク許容度に合ったファンドの選択がしやすくなります。