長期公社債投信 #
公社債投資信託は株式を一切組み入れず、公社債を中心に運用する投資信託です。その中でも、追加型で毎月募集が行われるものを長期公社債投信と呼びます。
長期公社債投信は、1月号から12月号まで毎月募集が行われ、12本のファンドで構成され、毎月、当該月のファンドについて追加募集が行われます。ファンド名は「公社債投信1月号」や「第1回公社債投信」といった形で、何月に追加設定が行われるかがわかるようになっています。
例えば、野村アセットマネジメントの長期公社債投信は次の構成になっています。
ファンド名 | 設定月 |
---|---|
第1回公社債投資信託 | 1月 |
第2回公社債投資信託 | 2月 |
第3回公社債投資信託 | 3月 |
第4回公社債投資信託 | 4月 |
第5回公社債投資信託 | 5月 |
第6回公社債投資信託 | 6月 |
第7回公社債投資信託 | 7月 |
第8回公社債投資信託 | 8月 |
第9回公社債投資信託 | 9月 |
第10回公社債投資信託 | 10月 |
第11回公社債投資信託 | 11月 |
第12回公社債投資信託 | 12月 |
投資対象 #
安定運用と元本の安定性を重視しており、主に円建ての国債、政府保証債、地方債、金融債、事業債等で運用されます。このファンドは投資信託の中でもリスクが低く、低リスクでの運用を求める投資家に適しています。
募集期間 #
原則として毎年、設定月の前月の20日から設定月の 19日までの約1ヵ月間程度が募集期間となります。たとえば、1月号の場合、通常前年12月下旬から1月下旬頃までが追加募集の期間となり、この期間に限りファンドの購入が可能です。運用期間に制限はありません。
手数料 #
購入時の手数料はかかりませんが、解約(換金)時には手数料が必要です。2001年3月までに購入したファンドの解約手数料は100円程度ですが、2001年4月以降に購入したものの解約手数料は2円から27円程度となり、購入時期により解約時の手数料が異なります。
分配金 #
ファンドは年1回決算を行い、決算日の分配前の基準価額が元本(1万口当たり1万円)を超過する分は、原則として全額が分配されます。超過分がなければ分配は行われません。マイナス金利政策が続いていた期間については、分配は実施されていません。また、分配金の受け取り方法については、受け取るか元本に再投資するかを選択できます。
長期公社債投信の主なリスク #
- 金利変動リスク:公社債の価格は金利変動により上下します。金利が上昇すると公社債の価格は下落し、金利が低下すると価格が上昇するため、ファンドの基準価額もそれに伴い変動します。なお、日本銀行によるマイナス金利政策が実施されていた期間については、長期公社債投信は募集の受付を停止していましたが、マイナス金利政策の解除に伴い募集が再開されつつあります。
- 信用リスク:投資対象の公社債の発行体が利払いや償還金の支払いを遅延したり、滞納したりした場合、ファンドの基準価額はマイナスの影響を受けます。
- 分配金変動リスク:年1回分配を基本としていますが、元本超過分がない場合には分配は行われません。実際、マイナス金利政策が実施されていた期間は、分配は実施されませんでした。
長期公社債投信の運用残高 #
2024年9月末時点で、野村アセットマネジメント、日興アセットマネジメント、大和アセットマネジメント、三菱UFJアセットマネジメント、アセットマネジメントOneの各社が長期公社債投信を運用しており、純資産総額の合計は約4,574億円となっていますが、近年は解約の増加により減少傾向にあります。
なお、野村、日興、大和、三菱UFJの長期公社債投信の設定は1961年、アセットマネジメントOneは1971年と、日本で最も運用が長期間継続しているファンドです。
(データ出所:投資信託協会 2024年9月現在)
長期公社債投信のまとめ #
長期公社債投信は、株式を組み入れず、国債や社債などの公社債を中心に運用する低リスクの投資信託です。追加型で毎月募集され、安定した収益と元本保全を重視します。年1回分配(分配されないこともある)が行われます。また、購入時に手数料はかかりませんが、購入時期によって異なる解約手数料が設定されています。主なリスクは金利変動リスクと信用リスクですが、一般的に安定した運用成果が期待され、特に長期的にリスクを抑えたい投資家に適したファンドです。