投資法人債 #
投資法人債とは、不動産投資信託(REIT)やインフラ投資法人などの投資法人が資金調達のために発行する社債の一種です。投資法人は、物件の購入や運営資金を確保するために、銀行借入や投資法人債の発行といった方法で資金を調達します。投資法人債の発行は、法律で認められている不動産投資法人の資金調達手段の一つです。
投資法人債の特徴と仕組み #
1. 債券としての性質:投資法人債は、一般的な社債と同様に、投資家に対して一定の利息(クーポン)を支払い、満期には元本を償還する仕組みです。利息は定期的に支払われ、投資家はその利息収入を得ることができます。
2. 無担保での発行が一般的:多くの投資法人債は無担保で発行されますが、発行体である投資法人の財務健全性や信用力が高いことが前提とされています。投資法人の信用度が高ければ、市場からの調達コストも低く抑えられるため、有利な条件で資金調達が可能です。
3. 投資家にとっては安定収益:投資法人債は、定期的な利息収入があるため、長期的に安定した収益を求める投資家にとって魅力的な投資商品です。また、投資法人債の保有者は、投資口保有者よりも元本返済の優先権があり、固定利息による収益や満期での元本返済が保証されているため、リスクが抑えられており、低リスクで収益を得たい投資家にも適しています。
4. 使用目的:不動産投資法人は、投資法人債の発行により獲得した資金を、土地や建物といった資産の取得、既存の建物等の修理、投資家への分配金の支払い、テナントの敷金や保証金の支払い、借入金の返済、過去に発行した投資法人債の償還金の支払いなどに使用します。実際の使用目的は、その都度異なりますが、不動産投資法人が公表する投資法人債の発行についての資料に、その使用目的が明記されます。ただ、募集が機関投資家だけを対象としていたり、額面が1億円など、機関投資家など大口投資家を対象としたものとなっています。
投資法人債の発行件数と発行額の推移 #
2022年には、コロナ禍により、オフィス需要の減少や商業施設の利用低下が続き、不動産市場全体に不透明感が漂いました。この影響で、投資法人も新規投資や大規模な資金調達のタイミングを慎重に見極める姿勢が強まり、結果として投資法人債の発行が抑制された可能性があります。
投資法人債発行の影響 #
投資法人債を発行することで、不動産投資法人の負債は増えることになり、投資尺度であるローン・トゥ・バリュー・レシオなどが悪化することになりますが、不動産投資法人が発行できる債券の限度額は、あらかじめ各不動産投資法人の運用方針の中に定められており、それを超える発行はできません。
投資法人債の償還期間 #
投資法人債の償還までの期間は、5年、7年、20年など債券により異なります。
投資法人債のまとめ #
投資法人債は、投資法人が安定的に資金を確保するための手段であり、投資家にとっては定期的な利息収入を得るための安定的な投資商品です。市場の信用力や金利環境に応じて発行額や利率が決まりますが、特に長期投資を考える投資家にとっては魅力的な投資対象となり得ます。