米国優先リート #
投資信託の投資対象の一つに米国優先リートがあります。米国優先リートは、米国で上場されている不動産投資信託(REIT)が発行する優先証券のことです。リートが資金調達のために発行します。英語ではREIT Preferred Equityと呼びます。
優先リートの特徴 #
優先リートには次のような特徴があります。
- 優先リートに支払われる配当は、普通リートに優先して支払われる。
- 発行体が清算される場合、残余財産の分配は普通リートに優先して支払われる。
- 優先リートの配当は、額面に対する割合(%)で固定されている。
- 優先リートには議決権は与えられない。
- 普通リートに比べると発行額が少なく、流動性は相対的に低い。
- 値動きは普通リートに比べると相対的に小さい。
- 発行から一定期間経過後、発行した側が額面で償還する権利を持つ。
米国優先リートの発行による資金調達額の推移 #
米国の不動産投資信託の業界団体であるNAREIT(全米不動産投資信託協会)のデータを見ると、優先リート(緑色の部分)の資金調達額は年により大きくばらつきがあることがわかります。
2022年以降の発行額の低迷は、特に米国を中心に金利上昇が顕著だったため、優先リートを発行する際のコストが上がったことが一因と考えられます。優先リートは通常、固定配当が約束されているため、金利が高い市場では高い配当を支払わなければならず、リートにとってコストが増大します。
一方、投資家にとっては、優先株の固定配当よりも、金利が高くなった他の固定金利の投資対象(例えば国債や社債)に投資する方が魅力的になります。そのため、リート側としても、発行しても買い手がつきにくく、優先リートの発行を抑える傾向が見られたと考えられます。
優先リートのベンチマーク #
優先リートのベンチマークの一つに「S&P U.S. Preferred REIT Stock Index」あります。同インデックスは米国の優先リート市場全体の動向を示す指数で、2024年9月12日現在、優先リート58銘柄で構成されています。
(データ:S&P Global)
この他にもMSCI REIT Preferred IndexやFTSE Nareit Preferred Stock Indexが公表されています。
優先リートを投資対象とする投資信託 #
日本の投資家は優先リートを投資対象とする投資信託を利用することで、米国の優先リートに投資することができます。優先リートと同様に、優先リートファンドは配当利回りが相対的に高いことが魅力です。配当によるインカムゲインが目的で、為替リスクをとりたくない場合は、為替ヘッジありのファンドを選択することができます。
- 優先リート・オープン
- 優先リート・オープン(為替ヘッジあり)
- 東京海上・US優先リートオープン(為替ヘッジあり)
- 東京海上・US優先リートオープン(為替ヘッジなし)
- 米国優先リートオープン(毎月決算型)(為替ヘッジあり)
- 米国優先リートオープン(毎月決算型)(為替ヘッジなし)
米国優先リートのまとめ #
米国優先リートは、米国上場リートが発行する優先証券で、配当や清算時の分配が普通リートより優先されます。配当は固定される一方、流動性が低く、値動きも小さい特徴があります。近年、金利上昇により発行額は減少傾向にありますが、配当利回りの高さから、これを投資対象とする投資信託が設定・運用されています。