ライツ・オファリング #
不動産投資法人(REIT)のライツ・オファリング(Rights Offering)は、新たな資金調達手段として使われる増資の一種です。具体的には、既存の投資主全員に新投資口予約権(ライツ)を、その持分割合に応じて無償で割り当てるものです。このオファリングにより、既存の投資主は通常、市場価格よりも割引された価格で新株を購入する権利を得ます。
これは、株式の新株予約権の無償割り当て増資に相当するものです。日本語では新投資口予約権無償割当と言います。
ライツ・オファリングの仕組み #
ライツ・オファリングでは、不動産投資法人が、既存の投資主に対して新投資口を購入できる権利(新投資口予約権)を無償で割り当てます。新投資口を得たい投資主はこの権利を行使して現金を払い込み新投資口を取得します。このとき払い込まれた現金により不動産投資法人は資金を調達します。
一方で、新投資口を得たくない投資主は、新投資口予約権の権利を放棄する、あるいは売却することも可能であるとされています。また、投資法人は、新投資口予約権を東京証券取引所に上場することも可能です。
不動産投資法人のライツ・オファリングは、2013年に施行された投資信託及び投資法人に関する法律の改正により可能になった資金調達手法ですが、不動産証券化協会によると、2024年9月末現在、これまでに実際にライツ・オファリングを実施した不動産投資法人はありません。
不動産投資法人の資金調達方法 #
不動産投資法人の資金調達には、上記のライツ・オファリングのほかにIPO、公募増資、第三者割当増資、投資法人債の発行、金融機関からの借入があります。
借入を除く資金調達状況を見ると、公募増資が主力であることがわかりますが、全体としての資金調達額は2020年をピークに減少傾向にあります。
(データ:不動産証券化協会)
ライツ・オファリングのまとめ #
ライツ・オファリングは、不動産投資法人(REIT)が既存の投資主に新投資口予約権(ライツ)を無償で割り当て、割引価格で新投資口を購入できる権利を提供する増資手法です。投資主は権利を行使して新投資口を購入するか、権利を売却することができます。この手法は2013年の法改正で可能となりましたが、2024年9月現在、実際に導入したREITはまだありません。