S&P/JPX リスク・コントロール指数(5%) #
S&P/JPX リスク・コントロール指数(5%)は、S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスと日本取引所グループ(JPX)が提供するインデックスの一つで、リスク管理に焦点を当てた指数です。この指数の主な目的は、ボラティリティ(価格変動の激しさ)を5%以内に抑え、安定したリターンを追求することにあります。
S&P/JPX リスク・コントロール指数(5%)の主な特徴 #
1. リスク管理の目標 #
この指数では、5%以内という特定のリスク水準(ボラティリティ)を目標としています。つまり、指数全体のリスクが年間標準偏差5%を超えないように管理されます。
2. 資産配分の調整 #
この指数は、東証株価指数を構成する株式と無リスク資産(国債や現金など)に投資します。株式市場が大きく変動しているときは無リスク資産の比率を増やし、リスクが低い時は株式比率を上げることで、リスク水準を5%以内にコントロールします。
メリットと使用例 #
安定したリターンの追求
5%というリスク目標を設定することで、極端な市場変動による大幅な損失を避けつつ、比較的安定したパフォーマンスを目指します。
リスクの抑制
東証株価指数に比べてリスクが抑制されるため、下落局面での損失を最小限に抑えることが期待されます。
ボラティリティとは #
ボラティリティは、英語の”Volatility”のことで、日本語では「変動性」や「変動率」、あるいは「不安定さ」を意味します。金融の世界では、株価や株価指数の変動率を指し、価格変動が大きければボラティリティは高く、価格変動が小さければ低くなります。ボラティリティは年率(%)で表示され、このボラティリティが年率5%になるように管理される指数がS&P/JPXリスク・コントロール指数(5%)です。この5%を「目標ボラティリティ」または「ターゲット・ボラティリティ」と呼び、ボラティリティを抑えることで指数の下落リスク(ダウンサイドリスク)がコントロールされます。
どのようにボラティリティをコントロールするか #
- TOPIX(東証株価指数)の値動きが激しくなり、ボラティリティが上昇した場合、S&P/JPX リスク・コントロール指数(5%)では現金の割合を高め、株式の割合を引き下げます。
- 反対に、TOPIXの値動きが緩やかでボラティリティが低下する局面では、現金の割合を低くし、株式の割合を高くします。
現金の割合が高くなると、それだけ株式投資の比率が減少するため、構成銘柄の値動きの指数全体への影響が小さくなります。S&P/JPX リスク・コントロール指数(5%)では、ボラティリティを5%に抑えるという目標に基づき、高度な計算で厳密に調整が行われます。
なお、ボラティリティには、過去の株価の変化をもとに統計的に算出される「ヒストリカル・ボラティリティ」と、市場参加者の予想を反映した「インプライド・ボラティリティ」がありますが、S&P/JPX リスク・コントロール指数(5%)ではヒストリカル・ボラティリティが使用されています。
(データ出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスHP)
他のリスク・コントロール指数 #
東証株価指数に基づくリスク・コントロール指数には、S&P/JPX リスク・コントロール指数(10%)やS&P/JPX リスク・コントロール指数(15%)もあります。
S&P/JPX リスク・コントロール指数(5%)への連動を目指すETF #
東京証券取引所に上場していた「MAXISトピックスリスクコントロール(5%)上場投信(1567)」は、この指数への連動を目指すETFでしたが、純資産総額の減少を理由に2021年に繰上償還されました。
S&P/JPX リスク・コントロール指数(5%)のまとめ #
S&P/JPX リスク・コントロール指数(5%)は、年間ボラティリティ5%以内を目指し、株式と無リスク資産の比率を動的に調整することで、リスクを管理しながら安定的なリターンを提供することを目指すインデックスです。リスクを抑えたい投資家にとって、安定した収益を得るための参考指標となります。