投資の世界では100%確実という言葉が当てはまるものはほとんどありません。株価は日々変動するため将来の株価がどうなるかを期待したり予想したりすることはできますが、必ずしもその通りになるとは限りません。予想どおり値上がりして利益を得ることができるかもしれないし、値下がりで損失を被るかもしれないわけで、その不確実性をリスクと呼ぶわけです。投資信託は、株式、債券のように価格の変動する商品に投資するため、運用成果が保証されているものではありません。したがって、投資信託のリスクとは、運用が期待通りの成果(リターン)をあげることができなくなる可能性のことを意味します。
一般的に、高いリターンを目標に掲げている投資信託ほど、その分だけリスクも高く(ハイ・リスク、ハイ・リターン)、期待した成果を達成できなくなる可能性も多くなります、反対にリスクをできる限り抑えて運用する方針のファンドに、高いリターンを期待することはできません(ロー・リスク、ロー・リターン)が、目標とする成果を達成できなくなる可能性は少ないというもの。高いリターンが期待できて、かつ、リスクも低い(ロー・リスク、ハイ・リターン)なんていう上手い話はそうあるものではないと覚えておきましょう。ちなみに、銀行預金は(最近は銀行も倒産する時代ですから、保険でカバーされている一行あたり1千万円までに限定されますが)100%確実に期待に応えてくれますが、リターン(利率)は雀の涙程度であることはご存知のとおりです。
投資信託のリスクとリターンの関係 #
一般に、高いリターンの期待できる投資信託のリスクはより高い傾向にあります。ハイリターン・ハイリスク、ローリターン・ローリスクの関係にあるということをしっかり覚えておきましょう。リスクが低く高いリターンが期待できるといった都合のよい金融商品はありません。また、投資信託は投資対象が何であれ、元本の保証はありません。
ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンの概念を図にすると次のようになります。
安定重視型の投資信託 #
安定した利回りの獲得を目標として、値動きの少ない証券で運用する投資信託です。短期金融市場で取引されるコマーシャル・ペーパー、CD、コールローンなどで運用される投資信託です。MMFも安定重視型の投資信託です。
利回り追求型の投資信託 #
相対的に値動きが安定している公社債を中心に運用を行い、安定した利回りの獲得を目標とする投資信託です。安定重視型の投資信託よりも、償還期間が長めの債券を投資対象にします。
値上り益・利回り追求型の投資信託 #
株式と公社債等に分散投資を行い、値上り益の獲得と利回りの向上を目的とする投資信託などです。公社債だけを投資対象とするものもあります。
値上り益追求型の投資信託 #
株式で運用を行い、値上り益の獲得を目標とする投資信託などです。
積極値上り益追求型の投資信託 #
大きな値上り益の追求を目標として派生商品や値動きの激しい証券に投資する投資信託などです。大きなリスクをとってでも、大きな値上り益を獲得しようとします。
上記は概念であり、各投資信託のリスクは各々の投資信託が組み入れている資産や構成比率等により異なります。
投資信託の代表的なリスク #
投資信託には様々なリスクがあり、その大きさや種類も投資対象などにより異なります。各投資信託のリスクについては目論見書に記載されています。ここでは基本的なリスクを理解しておきましょう。
価格変動リスク #
投資信託が保有している株式や公社債の価格は様々な要因により日々刻々と変動します。価格変動リスクとは、これらの組入有価証券の市場価格の変動によりファンドの基準価額が変動するリスクのことです。
流動性リスク #
「流動性」とは、金融商品等の「換金のしやすさ」のことをさします。したがって、流動性リスクとは、株式や債券など、投資信託が保有している有価証券などの現金化が容易に行えなくなるリスク、換金することができない、また、換金することができたとしても、不利な条件でしか換金できず、その結果として不利益を被る可能性を指します。
為替リスク #
海外の株式や債券などに投資している投資信託において、為替の変動により、基準価額が変動するリスクのことです。為替相場が円高になることで、円換算した場合の資産価値は減少するため、円高は投資信託の基準価額の押し下げ要因となります。
投資信託のリスクの考え方まとめ #
投資信託には価格変動によるリスクが伴い、運用成果が期待通りになる保証はありません。一般に、高いリターンを目指すファンドほどリスクも高く(ハイリスク・ハイリターン)、リスクを抑えたファンドではリターンも控えめ(ローリスク・ローリターン)です。リスクが低くリターンが高い商品は現実的に存在せず、リスクとリターンの関係を理解した上で投資判断を行うことが重要です。