上場廃止リスクとは #
不動産投資信託に投資するリスクの一つに上場廃止リスクがあります。これは、証券取引所に上場した不動産投資信託が、上場を維持するための基準を満たすことができなくなり、上場廃止となることです。
上場廃止の事由に該当するおそれがある場合には、不動産投資信託は証券取引所の整理ポストに割り当てられ、一定期間の後に上場が廃止されます。投資家は上場廃止までの間に、売却を余儀なくされ、その時点での基準価額によっては大きく損を被る可能性があります。
不動産投資信託の上場廃止基準 #
不動産投資信託が上場廃止となる基準は、各証券取引所が定めています。東京証券取引所の主な基準には次のようなものがあります。なお、上場廃止基準は改正されることがありますので、最新の情報は、取引所のHPでご確認ください。
- 運用資産の総額に占める不動産等相当部分の額の比率が75%未満となった場合において、1カ年以内に75%以上とならないとき
- 上場受益権口数又は上場投資口口数が4,000口未満である場合
- 純資産総額が5億円未満となった場合において、1カ年以内に5億円以上とならないとき
- 上場投資証券の発行者である投資法人が破産若しくは再生手続を必要とするに至った場合
- 資産総額が25億円未満となり、1か年以内に25億円以上とならないとき
- 最近1年間の売買高が20口未満である場合
- 上場不動産投資信託証券の有価証券報告書等 に「虚偽記載」を行い、かつ、その影響が重大であると証券取引所が認めた場合
上場廃止の例 #
例えば、2008年10月9日にニューシティ・レジデンス投資法人が東京地方裁判所に民事再生手続開始の申し立てを行ない、これを受け、東京証券取引所は、同投資法人を2008年11月10日に上場廃止にしています。
なお、ニューシティ・レジデンス投資法人のケースを除くと、これまでの上場廃止の理由のほとんどは他の投資法人に吸収合併されることによって上場廃止になったものです。
これまでに上場廃止になった不動産投資信託 #
上場廃止日 | 銘柄コード | 投資法人名 | 上場廃止理由 |
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2023/10/30 | 3278 | ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人 | KDX不動産投資法人(旧:ケネディクス・オフィス投資法人)に合併 |
2023/10/30 | 3453 | ケネディクス商業リート投資法人 | KDX不動産投資法人(旧:ケネディクス・オフィス投資法人)に合併 |
2023/02/27 | 3478 | 森トラスト・ホテルリート投資法人 | 森トラストリート投資法人(旧:森トラスト総合リート投資法人)に合併 |
2021/11/09 | 3298 | インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人 | 投資口の併合 |
2021/02/25 | 3227 | MCUBS MidCity投資法人 | 日本都市ファンド投資法人(旧:日本リテールファンド投資法人)に合併 |
2020/07/30 | 3473 | さくら総合リート投資法⼈ | スターアジア不動産投資法⼈に合併 |
2020/03/30 | 3308 | ⽇本ヘルスケア投資法⼈ | ⼤和証券リビング投資法⼈(旧︓⽇本賃貸住宅投資法⼈)に合併 |
2018/04/25 | 8973 | 積水ハウス・レジデンシャル投資法人 | 積水ハウス・リート投資法人に合併 |
2018/02/26 | 3460 | ジャパン・シニアリビング投資法人 | ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人に合併 |
2016/08/29 | 3263 | 大和ハウスリート投資法人 | 大和ハウスリート投資法人(旧:大和ハウス・レジデンシャル投資法人)に合併 |
2016/08/29 | 8982 | トップリート投資法人 | 野村不動産マスターファンド投資法人に合併 |
2015/09/28 | 3240 | 野村不動産レジデンシャル投資法⼈ | 新設される野村不動産マスターファンド投資法⼈に合併 |
2015/09/28 | 3285 | 野村不動産マスターファンド投資法⼈ | 新設される野村不動産マスターファンド投資法⼈に合併 |
2015/09/28 | 8959 | 野村不動産オフィスファンド投資法⼈ | 新設される野村不動産マスターファンド投資法⼈に合併 |
2012/03/28 | 8981 | ジャパン・ホテル・アンド・リゾート投資法人 | ジャパン・ホテル・リート投資法人(旧:日本ホテルファンド投資法人)に合併 |
2011/10/27 | 8983 | いちご不動産投資法人 | いちご不動産投資法人(旧:FCレジデンシャル投資法人)に合併 |
2010/11/26 | 3229 | 日本コマーシャル投資法人 | ユナイテッド・アーバン投資法人に合併 |
2010/09/28 | 8970 | ジャパン・シングルレジデンス投資法人 | クレッシェンド投資法人に合併 |
2010/06/28 | 8969 | プロスペクト・リート投資法人 | 日本賃貸住宅投資法人に合併 |
2010/02/24 | 8962 | 日本レジデンシャル投資法人 | 新設合併 |
2010/02/24 | 8974 | ラサール ジャパン投資法人 | 日本リテールファンド投資法人に合併 |
2010/02/24 | 8978 | アドバンス・レジデンス投資法人 | 新設合併 |
2010/01/27 | 8980 | エルシーピー投資法人 | 東京グロースリート投資法人に合併 |
2008/11/10 | 8965 | ニューシティ・レジデンス投資法人 | 民事再生手続 |
不動産投資信託の上場廃止リスクのまとめ #
不動産投資信託(REIT)の上場廃止リスクとは、証券取引所の基準を満たせず、上場が維持できなくなるリスクを指します。基準には、運用資産割合、純資産総額、売買高などが含まれます。上場廃止は、投資家に損失をもたらす可能性がありますが、多くの事例では吸収合併による廃止が主で、破綻による廃止は稀です。