分別管理 #
金融取引における分別管理とは、顧客の資産を会社の資産と区別して管理することを指します。これは、顧客の資産が会社の運営資金やその他の会社固有の資産と混同されないようにするための仕組みであり、顧客の資産や権利を保護するために重要な役割を果たします。
投資信託においても、運用会社および受託銀行の双方に分別管理義務があります。
投資信託における分別管理の仕組み #
投資信託では、投資家から集めた資金は、運用会社(投資信託会社)が信託契約を結んだ受託銀行によって「信託財産」として保管・管理されます。運用会社は信託財産の運用指図権を持っていますが、信託財産の管理・処分の権利は受託銀行にあります。
金融商品取引法(第42条の4)「分別管理」では、次のように定められています。
金融商品取引業者等は、その行う投資運用業に関して、顧客資産と自己の固有財産および他の顧客資産とを分別して管理しなければならない。
この法律により、投資信託会社を含む金融商品取引業者は、顧客資産を自己資産と明確に分離し、分別管理を行う義務を負います。顧客が預けた資金は、受託銀行が「信託財産」として保管・管理するため、運用会社が倒産した場合でも、運用会社が負債の返済に投資家の資金を利用することはできません。
信託銀行の分別管理義務 #
さらに、運用会社から預かった信託財産について、受託銀行も信託法に基づき分別管理を行うことが義務付けられています。
信託法第34条「分別管理義務」では、次のように規定されています。
受託者は、信託財産に属する財産と固有財産および他の信託の信託財産に属する財産とを、財産の区分に応じて、定められた方法により分別して管理しなければならない
この分別管理により、受託銀行が破綻した場合でも、信託財産は受託銀行の固有財産から独立しており、受託銀行の債権者が信託財産に対して権利を主張することはできませんし、受託銀行が信託財産を負債の返済に充てることもできません。
分別管理は投資家保護の一環 #
このように、投資信託においては、運用会社と信託銀行の両方で分別管理が法律により義務付けられており、投資家が預けた資産は安全に保護されています。運用会社が破綻しても、受託銀行が破綻しても、投資家の資産が守られる仕組みが整っています。
分別管理のまとめ #
分別管理とは、顧客の資産を会社の資産と区別して管理する仕組みで、投資家の資産を保護するために重要です。投資信託では、顧客資産は運用会社ではなく受託銀行が「信託財産」として管理し、運用会社や受託銀行が破綻しても投資家の資産が守られるよう法律で義務付けられています。