資産所得倍増プランとは、岸田首相が掲げた主要政策である「新しい資本主義の実現」の柱の一つで、2022年11月に決定されたものです。
新しい資本主義の実現とは「成長と分配の好循環」を実現しようとするもので、成長により、原資を稼ぎ出す(企業収益増、歳入増)ことで、分配が可能になり、一方で、分配により、需要が増加(消費・投資)するとともに、成長力が強化されることで次なる成長を可能とする、というものです。
「新しい資本主義」を資金の流れで見ると、企業部門に蓄積された325 兆円の現預金を、人・スタートアップ・GX・DX といった重要分野への投資につなげ、成長を後押しすると共に、我が国の家計に眠る現預金を投資につなげ、家計の勤労所得に加え金融資産所得も増やしていくことかが重要であるとの考え方を基本としてします。
この新しい資本主義の柱の一つである資産所得倍増プランは、「家計に眠る現預金を投資につなげ、家計の勤労所得に加え金融資産所得も増やしていく」というもので、投資による資産所得を倍増するというプランです。
資産所得倍増プランの目標 #
資産所得倍増プランでは次の3つの目標を掲げています。
- 投資経験者の倍増を目指す。具体的には、5年間で、NISA 総口座数(一般・つみたて)を現在の 1,700 万 から 3,400 万へと倍増させることを目指して制度整備を図る。
- 投資の倍増を目指す。具体的には、5年間で、NISA 買付額 を現在の 28 兆円 から 56 兆円へと倍増させる。その後、家計による投資額 (株式・投資信託・債券等の合計残高)の倍増を目指す。
- これらの目標の達成を通じて、中間層を中心とする層の安定的な資産形成を実現するため、長期的な目標としては資産運用収入そのものの倍増も見据えて政策対応を図る。
資産所得倍増プランの7つの柱 #
この3つの目標を達成するために、次の7つの柱を中核として制度改正が行われています。
- 家計金融資産を貯蓄から投資にシフトさせる NISA の抜本的拡 充や恒久化
- 加入可能年齢の引上げなど iDeCo 制度の改革
- 消費者に対して中立的で信頼できるアドバイスの提供を促すための仕組みの創設
- 雇用者に対する資産形成の強化
- 安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実
- 世界に開かれた国際金融センターの実現
- 顧客本位の業務運営の確保
資産所得倍増プランのまとめ #
資産所得倍増プランは、岸田首相が提唱した「新しい資本主義」の一環で、家計の現預金を投資に転換し、金融資産所得を増やすことを目指した政策です。NISAの拡充やiDeCo制度改革を含む7つの柱で、投資経験者や投資額の倍増を目標としています。中間層を中心とした資産形成の強化が目的です。