リンク債型ETFとは #
リンク債型ETFは、特定の指数や資産のパフォーマンスに連動する債券(リンク債)を組み込んだETFのことです。リンク債型ETFは、通常の指数連動型ETFとは異なり、直接その指数を構成する資産に投資するのではなく、指数や資産に連動するデリバティブ(リンク債)を利用して、指数や資産の値動きに連動する仕組みを採用しています。
なお、2024年10月末現在、東京証券取引所に上場しているリンク債型ETFはありません。
リンク債型ETFの特徴 #
1. 指数や資産に連動するリンク債を使用 #
リンク債型ETFは、特定の指数や資産(株価指数、商品、通貨など)に連動するリンク債を利用します。このリンク債は、債券としての性質を持ちながらも、その価値が指定された指数や資産のパフォーマンスに基づいて変動します。つまり、実際にその指数や資産を保有せずに、リンク債を介してそのパフォーマンスに連動させることができるのが特徴です。
2. リスクの特殊性 #
リンク債型ETFは、通常のETFに比べて信用リスクが高くなる可能性があります。これは、リンク債を発行する金融機関の信用に依存するためです。リンク債を発行する金融機関がデフォルト(破綻)した場合、ETFの価値が大幅に下落する可能性があります。
3. 市場アクセスの拡大 #
リンク債型ETFは、通常の市場アクセスが難しい資産(新興国株、商品、通貨など)に対しても、リンク債を通じて連動させることが可能です。これにより、投資家は特定の市場や資産に簡単にアクセスできるようになります。
リンク債とは #
リンク債とは、特定の指数に価格が連動するように設計された債券のことで、銀行などの金融機関が発行します。リンク債型のETFは、このリンク債に投資することで、指数への連動を目指します。リンク債の価格が指数に連動するため、このリンク債に投資することで、ファンドの基準価額も指数に連動することになるわけです。
リンク債型ETFの基準価額と指数の値動きに乖離が生じる要因 #
ただし、ファンドの基準価額の値動きが完全に指数の値動きに一致することが約束されているものではなく、次のような要因によってファンドの基準価額と指数の値動きの間に乖離が生じます。
- ファンドにおいては資金の流出入があるため、ファンドの資産の全額が常にリンク債に投資されているわけではない。
- ファンドは、リンク債の売買単位に満たない現金を保有することになり、リンク債の組入比率が必ずしもファンド資産の全額とはならないことがある。
- リンク債を発行した銀行などの信用度の低下などの理由により、リンク債の売買価格や評価価格と対象指数との間に乖離が生じることがある。
- ファンドの組入銘柄の調整やリンク債の満期に伴う銘柄入れ替えに伴う売買コストをファンドは負担するため、その分がファンド資産にとってマイナス要因となる。
- ファンドは信託報酬等のコスト負担があるため、その分がファンド資産にとってマイナス要因となる。
リンク債型ETFまとめ #
指数連動型ETFは、特定の指数に連動した運用成果を目指すETFですが、指数に連動させる方法はETFにより異なり、その一つが「リンク債型」と呼ばれる方法です。リンク債型ETFは、特定の指数や資産に連動するリンク債を利用して指数との連動を図り、通常の指数連動型ETFとは異なる構造を持ちます。これにより、特定の市場や資産に対するコスト効率の高い投資が可能となる一方で、信用リスクやデリバティブに関わるリスクが伴うため、投資家はそのリスクを十分に理解して投資することが求められます。