特化型運用ファンド #
投資信託は、一般的には、数百銘柄、多いものでは数千銘柄など、多くの株式や債券等に分散投資することでリスク低減が図られている投資商品ですが、例外として、限られた数の銘柄に集中投資が行われる投資信託があり、そのような投資信託を「特化型運用ファンド」と呼びます。
例えば、「スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)」のように、厳選した20銘柄程度に集中投資する運用方針のファンドや、特定の企業グループの株式だけに投資するファンド(グループ株式ファンド)があります。
法律や規則による例外 #
投資信託の運用会社は法律(金融商品取引業等に関する内閣府令など)や投資信託協会が定めた規則により、ファンドの資産を特定の銘柄に集中的に投資することで過度なリスクを取ることが禁止されています。
具体的には、投資信託協会が定める「投資信託等の運用に関する規則」(第17条 信用リスク集中回避のための投資制限)では、株式や債券であれば1銘柄当たりの組入比率がファンド全体の純資産総額の10%を超えてはいけないと定めており、超過した場合は、比率以内となるよう調整を行なわなければなりません。
しかし、このルールにも例外が認められており、例外的に特定の銘柄に集中的に投資を行う投資方針のファンドでは、交付目論見書の表紙に「特化型運用ファンド」と明記する、交付目論見書の「ファンドの目的・特色」の欄に支配的な銘柄が存在することを明記するなどの措置を講じることで設定・運用が可能となっています。この場合、1銘柄当たりの組入比率の上限は35%とされます。ここでいう支配的な銘柄は、1銘柄の構成比率が10%を超える銘柄のことを意味しています。
さらに、この35%の上限を超えて、特定の銘柄を組み入れる方針の投資信託も例外として認められており、これらのファンドにおいては、ファンドの名称にその銘柄の名称が明確に付されていることが条件とされています。
例えば、「トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」がその例です。トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドはトヨタ自動車およびトヨタグループの会社の株式に投資し、これらの銘柄群の動きをとらえることを目標に運用を行いますが、例えば、トヨタ自動車の組入比率は48.6%(2024年7月末現在)と、35%を大きく上回っています。
特化型運用ファンドのリスク #
特化型運用ファンドには集中投資によるリスクがあります。限られた数の銘柄にしか投資しないため、1銘柄の値動きがファンド全体に与える影響が極めて大きく、ファンドの基準価額の値動きが大きくなる可能性があります。組入銘柄の一つが大きく値下がりした場合、基準価額も大きく値下がりすることになります。これは数百銘柄、数千銘柄に分散投資してリスク分散を図る一般的な投資信託と大きく異なる点です。
特化型運用ファンドの例: #
- りそなスイス・グローバル・リーダー・ファンド
- スパークス・新・国際優良日本株ファンド(愛称:厳選投資)
- トヨタグループ・バランスファンド
- トヨタモータークレジット/トヨタグループ債券ファンド
- トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド
- (トヨタモータークレジット)トヨタグループ世界債券ファンド(年2回分配型)
- (トヨタモータークレジット)トヨタグループ世界債券ファンド(毎月分配型)
特化型運用ファンドのまとめ #
特化型運用ファンドは、限られた数の銘柄に集中投資する投資信託で、一般的な分散投資ファンドと異なり、高いリスクとリターンを追求します。一部の銘柄に35%以上を組み入れる場合、特定銘柄の名称をファンド名に明記する必要があります。集中投資のため、銘柄の値動きがファンド全体に大きく影響するリスクがあります。例として「トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」などが挙げられます。