インデックスファンド #
インデックスファンドとは、特定のベンチマークの値動きへの連動を目指すファンドです。一般のアクティブ運用の投資信託が、ベンチマークを上回る投資成果を目指すのに対し、インデックスファンドは、ベンチマークを上回るのではなく、それに連動することを目標とします。ベンチマークとは、ファンドが運用の指標とする指数のことで、株式ファンドであれば株価指数がベンチマークとして採用されています。
例えば、東証株価指数をベンチマークとしているインデックスファンドでは、ファンドの基準価額の値動きが東証株価指数に連動することを目指します。東証株価指数が上昇すれば、インデックスファンドも同程度上昇し、東証株価指数が下落すれば、インデックスファンドも同程度下落します。
インデックスファンドでは、基準価額がベンチマークに連動するように設計・運用されていますから、ファンドマネージャーの判断が銘柄選択や投資配分に影響を与えることはありません。組み入れている銘柄の価格が下落したからといって、ファンドへの影響を抑えるために、ファンドマネージャーがその銘柄を売却するということも行われません。
一般に、インデックス型ファンドでは、ベンチマークの構成銘柄の全て、あるいは代表的な銘柄群を、ベンチマークの構成比率と同じ比率で保有することで、ベンチマークとの連動を図ります。
インデックスファンドの特徴 #
インデックスファンドの特徴としては次が挙げられます。
- 市場インデックスに連動: インデックスファンドは、特定の市場インデックスに連動する運用を目指します。代表的なインデックスには、以下のものがあります:
- 日経平均株価(Nikkei 225): 日本の代表的な225銘柄の株価指数
- TOPIX(東証株価指数): 東京証券取引所第一部に上場している全銘柄の株価指数
- S&P 500: アメリカの主要500銘柄で構成される株価指数
- MSCIワールドインデックス: 世界の先進国の株式市場を対象とした指数
- パッシブ運用: インデックスファンドは「パッシブ運用」と呼ばれる手法を取ります。つまり、ファンドマネージャーは市場の動きを予測して個別銘柄を選択するのではなく、通常は、インデックスに含まれる全ての銘柄を同じ割合で保有するように運用します。そのため、インデックスファンドの運用方針は比較的シンプルで、低コストであることが特徴です。
- 低コスト: インデックスファンドは個別ファンドや業界などの調査分析を必要としないので、アクティブファンドに比べて運用コスト(信託報酬)が低く抑えられています。また、ファンドマネージャーが積極的に売買を行わないため、管理費用や売買委託手数料が低く抑えられます。
- リスク分散: インデックスファンドは、インデックスを構成する複数の銘柄に分散投資するため、特定の企業や業種に偏らない分散効果が期待されます。例えば、S&P 500に連動するインデックスファンドは500銘柄に分散投資しているため、リスクを分散できます。
- 市場平均のリターン: インデックスファンドは市場の平均的なリターンを目指します。アクティブファンドのように市場を「上回る」リターンを目指すのではなく、インデックスの動きに合わせて市場全体のパフォーマンスを再現することを目標とします。そのため、市場が上昇すればインデックスファンドも上昇し、市場が下落すればインデックスファンドも下落します。
インデックスファンドの最大のメリット #
特徴でも述べましたが、インデックスファンドの最大のメリットはコストが安いことです。具体的には、インデックスファンドの信託報酬は、アクティブ運用のファンドよりも低く抑えられています。アクティブファンドで必要となる個別銘柄の分析を行うアナリストや経済見通しを予測するエコノミストなどの人員がアクティブ運用ほど必要とないためです。また、インデックスファンドでは、アクティブ運用のファンドのようにベンチマークを上回るために積極的な運用を行わない、つまり、保有している証券の売買が頻繁には行われないため、ファンドから証券会社に支払う売買委託手数料などが低く抑えられるのです。更に、インデックスファンドを購入する際に、販売会社に支払う販売手数料も、インデックスファンドの方がアクティブ運用ファンドよりも低いのが一般的です。
次の図は公募株式投信(追加型)における運用管理費用(信託報酬)の推移を示したものです。緑色で示されたアクティブファンドの信託報酬が1.1%であるのに対し、赤色で示されたインデックスファンドの信託報酬の平均は0.36%に抑えられています。信託報酬は、ファンドの資産から支払われるものなので、投資家にとっては低い方がよいと言えます。
<公募株式投信(追加型)における運用管理費用(信託報酬)の推移>
インデックスファンドのまとめ
インデックスファンドとは、特定のベンチマークの値動きへの連動を目指すファンドです。一般のアクティブ運用の投資信託が、ベンチマークを上回る投資成果を目指すのに対し、インデックスファンドは、ベンチマークを上回るのではなく、それに連動することを目標とします。インデックスファンドの最大のメリットはコストがアクティブ運用のファンドよりも低く抑えられていることにあります。