9月のETF(上場投資信託)市場の概況
東京証券取引所が公表したETF相場表によると、2023年9月のETF市場全体の月間売買代金(立会内とToSTNetの合計)は前月から7.5%減少し、約4.36兆円になりました。1日当たり売買代金は前月から約1.7%増加して約2,178億円になりました。
日本銀行によるETFの買い入れは実施されませんでした。
9月の注目ニュースは、国内で初めてアクティブ運用型のETFが東京証券取引所に上場したことです。これまで上場していたETFは、特定の株価指数などのベンチマークへの連動を目指すものでしたが、アクティブ運用型ETFは連動の対象となるベンチマークは存在せず、予め決められたファンドの運用方針に従って、ファンドマネージャーが組入銘柄や資産配分についての決定を行います。
2023年9月に上場したアクティブETFは次の6本です。
- PBR1倍割れ解消推進ETF(2080)
- 政策保有解消推進ETF(2081)
- 投資家経営者一心同体ETF(2082)
- NEXT FUNDS 日本成長株アクティブ上場投信(2083)
- NEXT FUNDS 日本高配当株アクティブ上場投信(2084)
- MAXIS高配当日本株アクティブ上場投信(2085)
一方、通常のベンチマークへの連動を目指すETFも、次の7本が9月に上場しています。
- NZAM 上場投信 S&P500(為替ヘッジあり)(2086)
- NZAM 上場投信 NASDAQ100(為替ヘッジあり)(2087)
- NZAM 上場投信 NYダウ30(為替ヘッジあり)(2088)
- NZAM 上場投信 DAX(為替ヘッジあり)(2089)
- NZAM 上場投信 米国国債7-10年(為替ヘッジあり)(2090)
- NZAM 上場投信 ドイツ国債7-10年(為替ヘッジあり)(2091)
- NZAM 上場投信 フランス国債7-10年(為替ヘッジあり)(2092)
これにより、2023年9月末現在、東京証券取引所には297本のETFが上場しています。
なお、野村アセットマネジメントの「NEXT FUNDS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信」(銘柄コード:1324)については、ロシアのウクライナ侵攻の影響でロシア株式の取引を行うことが困難になったことから2022年3月17日以降売買が停止された状態が続いています。
ETFの売買代金ランキング
月間の売買代金が最も大きかった銘柄は、2023年9月も野村アセットマネジメントの運用する「NEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」(銘柄コード:1570)でした。同ETFの9月の月間売買代金は約1.9兆円(立会内とToSTNeT合計)で、全体の約4割(43.6%)を占めました。また、取引が一部の銘柄に集中した状態は継続しており、売買代金上位10位銘柄の売買代金の合計が全体の約75%を占めています。
売買代金ランキング(上位10位銘柄)は次の表の通りでした。売買代金上位10位ファンドの全てが日本の株式市場を対象とするETFで、この内7本がブルベア型のETFでした。引き続きブルベア型を利用した短期売買がETF取引の中心になっていると推測されます。
【2023年9月 ETF売買代金ランキング上位10位銘柄】
順位 | 銘柄コード | ファンド名 | 売買代金(百万円) | 運用会社 |
1 | 1570 | NEXT FUNDS日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 | 1,896,082 | 野村 |
2 | 1357 | NEXT FUNDS日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信 | 235,203 | 野村 |
3 | 1321 | NEXT FUNDS 日経225連動型上場投信 | 204,208 | 野村 |
4 | 1306 | NEXT FUNDS TOPIX連動型上場投信 | 180,127 | 野村 |
5 | 1459 | 楽天ETF‐日経ダブルインバース指数連動型 | 170,207 | 楽天 |
6 | 1579 | 日経平均ブル2倍上場投信 | 155,966 | シンプレクス |
7 | 1360 | 日経平均ベア2倍上場投信 | 154,871 | シンプレクス |
8 | 1458 | 楽天ETF‐日経レバレッジ指数連動型 | 148,687 | 楽天 |
9 | 1489 | NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信 | 74,856 | 野村 |
10 | 1568 | TOPIXブル2倍上場投信 | 70,214 | シンプレクス |
(データ出所:東京証券取引所 ETF相場表2023年9月版)
値付日数の少ないETF
2023年9月の東京証券取引所の営業日は20日でしたが、この20日全営業日に値段が付いたETFは、239本でした。新規上場銘柄と取引停止中のファンドを除いて値付日数が10日以下だったETFは12本ありました。
売買高が小さいETFや値付日数が少なく、毎日売買が成立していないETFは、購入したい時に購入したい値段で買えない、売却したい時に売却したい価格で売れないなどと言う流動性リスクが伴います。購入前に各ファンドの流動性を確認することが大切です。
2023年9月の値付日数が10日以下だったファンド
銘柄コード | ファンド名 | 売買代金(百万円) | 値付日数 |
2560 | MAXISカーボン・エフィシェント日本株上場投信 | 3.1 | 10 |
1676 | ETFS 貴金属バスケット上場投資信託 | 1.8 | 9 |
1480 | NEXT FUNDS野村企業価値分配指数連動型上場投信 | 1.5 | 8 |
1490 | 上場インデックスファンドMSCI日本株高配当低ボラティリティ(βヘッジ) | 6.7 | 7 |
2553 | One ETF南方 中国A株 CSI500 | 0.65 | 7 |
2861 | 上場インデックスファンドフランス国債(為替ヘッジなし) | 1.7 | 6 |
2850 | NEXT FUNDS SolactiveジャパンESGコア指数連動型上場投信 | 1.6 | 6 |
1485 | MAXIS JAPAN 設備・人材積極投資企業200上場投信 | 1.6 | 6 |
2526 | NZAM 上場投信 JPX日経400 | 1.3 | 6 |
2523 | MAXISトピックス(除く金融)上場投信 | 0.4 | 5 |
1479 | iFreeETF MSCI日本株人材設備投資指数 | 0.6 | 4 |
1596 | NZAM 上場投信TOPIX Ex-Financials | 0 | 0 |