投資信託協会が公表した2014年8月のファンド償還状況によると、2014年8月に、5本の追加型株式投資信託が償還を迎えました。大和証券投資信託委託の「ジャパン・エクセレント2014-04(早期償還条項付/限定追加型)」は、基準価額が12,000円を超えた場合に繰上償還を行なうという早期償還条項を満たしたための償還で、新光投信の「NS-21成長株オープン」は満期償還でした。両ファンドとも、1口当たり償還額が当初設定額の10,000円を上回る額での償還でした。
残る3本については、残念ながら繰上償還となりました。また、1口当たり償還額は当初元本を下回るものでした。繰上償還の理由については、受益権の口数、または信託財産の純資産総額が約款で定めてあった口数または金額を下回った状態が続いており、回復の見込みがないというものです。つまり、ファンドの規模が小さすぎて、効率的な運用ができなし、今後もできそうにないというものです。実際に償還時の純資産総額を見ると、「MHAMモルガン グローバル株式」は6.99億円、「グローバル高配当プラス・ファンド(四半期決算型)」は6400万円、「アジア高成長国CBファンド」は3.34億円とかなり小さく、投資信託が基本としている分散投資ができるような額ではないことがわかります。
社名 |
ファンド名 |
設定 | 償還 | |||||
年月日 | 元本額 (百万円) |
年月日 | 純資産 総額(百万円) |
1口当り 償還額 (A)円 |
期中 分配金 (B) 円 |
合計 (A) + (B) 円 |
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大和 | ジャパン・エクセレント2014-04(早期償還条項付/限定追加型) | 2014.4.30 | 1,061 | 2014.8.13 | 1,551 | 12,071.74 | 0.00 | 12,071.74 |
新光 | NS-21成長株オープン | 1994.5.25 | 9,404 | 2014.8.20 | 794 | 11,928.18 | 10,525.00 | 22,453.18 |
みずほ | MHAMモルガン グローバル株式 | 2000.3.17 | 3,328 | 2014.8.29 | 699 | 8,733.70 | 330.00 | 9,063.70 |
日本アジア | グローバル高配当プラス・ファンド(四半期決算型) | 2007.2.20 | 458 | 2014.8.20 | 64 | 3,453.71 | 2,350.00 | 5,803.71 |
三井住友 | アジア高成長国CBファンド | 2010.9.30 | 3,337 | 2014.8.21 | 334 | 8,995.63 | 2,365.00 | 11,360.63 |
毎月、多くのファンドが繰上償還される状況が続いています。また、現在で運用されている4453本の追加型株式投資信託(2014年8月末現在)のうち、繰上償還予備軍とも言える規模の小さなファンドはかなり存在しています。多くのファンドが繰上償還の条件としている純資産総額10億円という境界線で見ると、4453本中1758本のファンドの純資産総額が10億円を下回っています。約4割が償還予備軍と言えます。もちろん、この中には設定間もないファンドや、純資産総額が増加傾向にあるファンドも含まれていますから、これらが実際に繰上償還されるわけではありませんが、設定から何年か経過していても純資産総額が小さいままのファンド、加えて、純資産総額が明確に減少傾向にあるものについては、繰上償還のリスクは高いと言えます。