日本では2000年頃から環境や企業の社会的責任に焦点を当てた社会的責任投資ファンド(SRIファンド)が設定されるようになりました。地球温暖化の進行や東日本大震災時の原発事故を受け、SRI投資への関心が増しているとの見方もあります。では、世界でSRI投資の市場規模はどのくらいあるのでしょうか。
アジア、欧州、米州などのSRI業界団体等の連合体であるGSIA(Global Sustainable Investment Alliance)が公表した「2014 Global Sustainable Investment Review」によると、2014年の世界のSRI市場規模は約21.4兆ドル(1ドル=120円で換算すると約2,590兆円)でした。2012年と比較して約61%拡大しています。
地域別に見ると、欧州の市場規模が最も大きく約13.6兆ドルで、2012年に比べて約55%成長しました。米国の市場規模は欧州の半分程度の約6.6兆ドルですが、伸び率は最も大きく、2012年に比べて約76%も成長しています。アジアの市場規模は約530億ドルで、伸び率も他の市場に比べて低く約32%にとどまりました。
【世界のSRI市場規模】(単位:10億ドル)
2012年 | 2014年 | 成長率 | |
欧州 | $8,758 | $13,608 | 55% |
米国 | $3,740 | $6,572 | 76% |
カナダ | $589 | $945 | 60% |
オーストラリア/ニュージーランド | $134 | $180 | 34% |
アジア | $40 | $53 | 32% |
合計 | $13,261 | $21,358 | 61% |
(出所:GSIA 2014 Global Sustainable Investment Review)
このようなSRI市場の世界的成長にもかかわらず、残念ながら日本については市場規模が縮小しました。同レポートによると、日本のSRIの市場規模は2012年の102億ドルから2014年には80億ドルに縮小しました。また、日本のSRIファンドの残高は2012年の27億ドルから2014年には21億ドルに減少し、ファンドの数もピーク時の93本から72本に減少しているということです。ファンドの減少要因については、いくつかのファンドが償還を迎える一方で、新規の設定がなかったためだとされています。