「DCオートマくん」と聞いて、金融商品だと想像できる人はかなりの金融通か、業界に働くでしょう。「DCオートマくん」は、三菱UFJ信託銀行と三菱UFJ投信が共同で開発した投資信託の愛称で、正式名称は「三菱UFJ DC金利連動アロケーション型バランスファンド」といいます。確定拠出年金専用のファンドです。
このファンドの特徴は、ファンド名にあるように金利の変化に連動して自動的に資産配分が変化する金利連動型であるという点にあります。短期金利が上昇すると短期金融市場で運用する「安定運用部分」への配分が自動的に引き上げられ、短期金利が低下すると「安定運用部分」への配分が引き下げられて国内外の株式や債券で運用する「バランス型運用部分」への配分が自動的に引き上げられます。
この「短期金利に連動して安全資産とリスク資産の配分を自動的に変更させるシステム」は、上記の二社が共同開発したもので、ビジネスモデル特許を出願しているそうです。
三菱UFJ信託銀行と三菱UFJ投信のプレスリリースによると、この商品を開発した背景には、これまでの確定拠出年金の加入者の運用実績と想定利回りが乖離しており、当初想定した受取目標額に到達しない可能性が指摘されていることや多くの加入者が加入時に指図した資産配分を見直さず、想定利回りを意識した運用が行われていないことがあるということです。
確かに、個人投資家にとって、金利動向を見ながら、自分の資産配分を変更することは容易ではありません。そういう意味では、DCオートマくんは、個人投資家にとっては利便性のある商品といえるかもしれません。ただし、一方で、DCオートマくんは、バランス運用部分(国内株式、外国債券、外国株式、国内債券)の動向や見通しにかかわらず、日本の金利変動だけで自動的にリスク資産への配分が変更されるので、国内外の株式・債券相場の動向によっては、配分変更が功を奏するかどうかは未知数です。また、外国資産の運用では為替ヘッジが行われないので、バランス運用部分が増えるほど為替リスクも上昇します。
また、資産配分については、「望ましい資産構成は、その人の年代によって強く影響をうけるので、リスク資産と安定資産の配分比率は、投資家の年齢に応じて変化させるべきである」という考え方もあります。この場合、ターゲットとする退職年齢に近づくにつれて、リスク資産への配分を減らし、安定運用への配分を増やしていきます。
これ以外にも、資産配分の変更については、様々な考え方がありますので、それらを勉強した上で、自分に合っていると思える商品を選択することが大切です。